インタビュー 2014/11/4(火)
ワーキングウーマン必読!

仏の女性権利担当大臣が語る、今あるべき女性の働き方

9月に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」のために来日した、フランスのパスカル・ボワタール女性権利担当大臣。仕事と子育ての両立、社会における実質的な男女平等など、エル・オンライン世代のワーキングウーマン必読のインタビューをお届け!

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“男女の役割”という既成概念を取り払うこと

 結婚・出産、仕事と家庭の両立……、ライフスタイルの多様化とともに、働く女性を取り巻く環境もますます複雑に。「仕事か結婚か」といった単純な選択では割り切れなくなっている昨今、今あるべき女性の働き方とはどんなものなのか? この8月に男女平等に関する新たな法律が成立し、フランスにおける女性の権利保護、男女平等を推進するパスカル・ボワタール女性権利担当大臣に話を聞いた。
 
―今回参加された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」はいかがでしたか?
今回のフォーラムは出会いの場として有意義だったと思います。お互いの経験を知ることはとても良いことですし、色々な方と意見交換をするなかで得るものも多かったですね。私たち女性が何よりも避けなければいけないことは、「私は何でも知ってるわ」という気になって、自分の環境のなかから一切外に出ないこと。外に出ることで向上することができますし、私自身も今回は各国の方の話を聞くことを心掛けました。フランスは早くから女性の権利について取り組んできましたが、だからといってフランスが特別なわけではないことを改めて感じることもできました。
 
―パスカルさんが女性に関する施策で最も注力していることは何ですか?
今年の8月4日、フランスでは男女平等に関する法律が成立しましたが、それを通じて“本当の意味での男女平等”を推進していくことです。言葉や文字のうえだけではなく、フランス社会のあらゆる分野で、男性と女性が同等の形で物事を進めていくことが最も重要だと思っています。
 
―働く女性にとって、仕事と家庭の両立は大きなテーマであり、悩みでもあります。フランスでの現状はどうですか?
日本に比べると、フランスは仕事と家庭を両立しやすい環境にあると思います。さらに8月に成立した法律によって、より一層、それが現実のものになってきています。つまり女性が一生のなかで、しっかりと自分の人生設計を描けるような土台を作っていかなければならないということです。職業人でありながら母親になり、女性としても存分に自由を謳歌できる、そんな環境作りが必要になってきます。
 
そのためには社会的にも、男性がそうであるように、女性が自分の一生のなかで成長し続けられるような環境を作ることが大切です。今回の法律が可決・実施されることによって、たとえば子育てもその一環ですが、それが女性の役割ということではなく、父親も参加することができるものだと理解してもらわないといけません。そして職業に関しても、これは男性がやるべき仕事、これは女性がやるべき仕事、といった固定概念を取り除くこと。今は男性が活躍している分野でも女性が活躍することは可能ですし、その逆も然りです。それによって最終的には、よりバランスの取れた、また非常に穏やかな社会を作っていきたいというのが目標です。
 
―家事の分担や育児参加について、フランスの男性は積極的ですか?
そうですね、それに関してはまだまだやるべき仕事はたくさんありますね(笑)。なかでも強調したいことは、教育の必要性です。子どもたちが小さい頃から、そうした考え方を身につけていくことがキーポイントになると思います。家事においても、これは父親と母親のどちらがやるべき、という既成概念を取り払う必要があります。女性は現在、子育てに関わっていることが多いわけですから、子どもたちに「お父さんとお母さんは対等なんだ」ということきっちりと教えていくことが、今後もっと重要になっていくと思います。

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photo : Yoshihiro Toyota

  • パスカル・ボワタール/1971年、フランス・モン=ド=マルサン生まれ。厚生・女性権利大臣付女性権利担当大臣。パリ第8大学を卒業(政治科学専攻)後、2001年より職業教育担当大臣官房議会秘書。2008年~2012年、パリ議会議員を経て、2012年に国民議会議員に選出。2014年8月より現職。

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