【Vol.3】女性を活かす職場の作り方
働く女性を応援するイベント、「エル・ウーマン・イン・ソサエティ」。盛況のうちに終了した同イベントに登壇した女性リーダーたちに、女性が働きやすい職場づくりについて訊ねる連載が進行中! 第3回目は「トリップアドバイザー」を訪問。企業のモットーである“家庭第一”の精神に基づき家に戻った原田静織代表取締役に代わり、大津陽子シニアマネージャーがオフィスについて解説。社員のパフォーマンスを支える視覚的楽しさとは?
社員の参加しやすさを重視したハッピーアワー
日本でも社員同士の交流の場である“ハッピーアワー”は月に1度あって、そこに会社から予算もしっかりついています。持ち寄りの日もありますし、たこ焼きの日もありました。でもたこ焼きは焼くところからやろうとしたら、煙の問題で買ってくることになったのですが(笑) 屋形船のときもありましたね。結構みんな参加します。私たちの会社は基本的に縦割りで、私はシンガポールに上司がいるのですが、広報の者は日本に上司がいます。ロンドンに上司がいる人もいます。なので、横軸で繋がるためには、そういった機会が有効なのです。
横の繋がりが結構重要で、そこから広がるものがあります。前の時代ならばそれがタバコルームだったりしたのかもしれませんが、ハッピーアワーであれば誰でも参加しやすいですよね。要はみんながどこで行われているのかが分かる場所で、横のつながりを深める機会を設けることが大切なのではないかと。
―ハッピーアワーは参加したくてもできない人も企業のなかでは出てきてしまいがちです。そこはどう解消しているのですか?
より多くの人に参加を希望するのであれば、開催する時間も重要ですよね。17時とか18時ではなく、16時にしてしまうという手もあります。ハッピーアワーはお酒が入るので、そのまま仕事を切り上げて帰宅せざるをえない。なので、仕事を早めに終えたくない人のために、この間はケーキを用意したお茶会のような形でも開催しました。
女性の活躍を阻む“残業プレッシャー”を解消
―他の会社と比べて女性が働きやすいポイント他にありますか?
(従来の企業体質と)絶対的に違うのは、残業が推奨される“無言のプレッシャー”があるかないかだと思っています。まったくないのです。先ほども言いましたが、19時までいると遅いくらいで、22時まで社にいたら「本当に大丈夫!?」と心配されます。出社時間はフレックスですが、午前9:30くらいでしょうか。9:30~18:30がコアタイム。深夜に家からテレカン(テレビ会議)に出るので時間調整をして18:30より早く帰る人もいます。仕事が残っていても、ITの企業なので、PCを持ち帰ってあとで仕事をすることもできます。
ロンドンやアメリカなどとの打ち合わせをするときは、結局帰宅後にしなければならないので、一旦は家に帰り、家族との時間を大切にする。メールのチェックも自宅のPCやノートPCでできますし。
―毎日家に帰ってからも海外との打ち合わせがあるのですか?
プロジェクトによります。社内でもひとりひとり働き方が異なります。毎日そのような打ちあわせがあるわけでもないです。家ではまったくPCを開かないという人もいます。家でやらないと決めている人は、早めに出社するなどしていますね。
いずれにせよ長くいる人が一生懸命やっている人だとは、まったくもって思われません。これは日本オフィスが立ち上がった当初から変わりません。以前の代表も仕事が大好きで、ずっと仕事をしている人でしたが、会社でずっとは仕事をしていませんでした。娘さんがいらして、家に帰ることを優先していました。皆、家庭優先という形でここまできました。世界中のトリップアドバイザーオフィスが同じ文化でやっています。
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大津陽子/ トリップアドバイザー株式会社 ディスプレイセールスシニアマネージャー
京都大学大学院修了後、電通西日本に入社。マーケティングプランニングに従事した後、Google でディスプレイネットワーク広告の販売戦略企画に携わる。その後、トヨタ等の日本の大手広告主をアカウントプランナーとして担当。2013年にトリップアドバイザーのディスプレイ広告の日本立ち上げのため入社。日本国内外の広告主開拓とサービス開発を行っている。