特集 2015/6/29(月)
“ユニセックスな職場”「株式会社HUB Tokyo」槌屋 詩野共同創設者兼代表取締役 

【Vol.2】女性を活かす職場の作り方

働く女性を応援するイベント、「エル・ウーマン・イン・ソサエティ」。盛況のうちに終了した6月13日(土)に登壇した女性リーダーたちに、女性が働きやすい職場づくりについて訊ねる連載がスタート! 職場から見えてくる“理想の働き方”を追求しようという本企画の第二回目は、起業家たちが仕事場を共有するという新しい形態の職場=コワーキングスペース「株式会社HUB Tokyo」の共同創設者であり、代表取締役の槌屋詩野さんにインタビュー。「Impact HUB Tokyo(インパクト・ハブ東京)」は単なるコワーキングスペースではなく、世界73都市に展開するグローバルな起業家達のコミュニティ、「Impact HUB」の一員としても機能しているが、そんな社会的事業に関わる女性たちが好む、ユニセックスな職場とは?

IHTには個人事業や法人を設立して登記をする人も多いため、郵便物を仕分ける一種の“共同ポスト”がコワークスペースの中央に設置。施工会社と工夫を凝らし、古材を使用したおかげで、普通なら冷たい雰囲気になるストレージに味わいが。

Photo : Yusuke Miyake

社会的事業プロデューサーとしてノマドワークでコンサルタントしていたキャリア

 
―そもそもアントレプレナーたちの“HUB”となる「Impact HUB」を立ち上げようと決めたのはなぜですか?

以前は会社勤めでコンサルティングをしていました。その前は株式会社日本総合研究所ということころで、クライアントの新規事業を共につくる部署にいました。コンサルタントとしてお客様が何か新しい事業をつくるときに、戦略を提示するというよりも、伴走して一緒に事業をやるという感じ。さらにその前のキャリアが国際NGOの日本支部の立ち上げに関わる仕事。一貫して社会的なミッションがあるものを立ち上げ、サスティナブルな事業にすることに関わってきました。

中国、インド、ガーナ、ケニヤなど、その他発展途上国の社会起業家たちと関わるようになりました。当時はロンドンに住んでいたのですが、農村部で働くことが多く、ノマド社員状態(笑) 「槌屋さんって今どこにいるの?」と訊かれると、今インドかしら? ガーナかしら? とはっきり答えられないくらいうろうろと移動していました。会社のルールとだいぶ離れて仕事していたのだと思います。

自分のクライアントがいて、彼らのためにここそこへと動いていたので、「なんだかひとりでやっても変わらないな」と。だからノマドワークは日常茶飯事。やはりノマドで働くからこそ得られたネットワークがすごくある。それが今でも仕事に生きています。ロンドンにはそういったハブになる場所があって、そこで出会えました。そういう働き方が面白いけど東京にはあまりないなと。サンフランシスコやインドにもあって、出会えた人もたくさんいます。だけど日本でそういう形で働く人も少ないし、出会えない。世界的な事業に関わる人は、次から次へと新しいメソッドややり方を吸収しないと、“次の社会”はつくっていけません。ひとつの箱のなかにいては無理なんです。

“HUB”を体験したのはノマドリサーチャーとして働いていた会社員時代。現在のIHTでは、だからこそいろいろな企業の人たちも出入りをし、起業家をリサーチしています。アントレプレナーと呼ばれる、会社を作った人だけでなく、企業のなかで社会的活動をしている人、つまり最近でいうとイントレプレナーも出入りしています。うろうろしてコラボレーションの機会というか、人材とネタ探しをするわけです。私も会社員時代、そうやって機会を探していましたから。ロンドンにいた頃は、バスに乗っている間にツイッターで「この人面白い!」と思った人が「今日はロンドンに来ている」とつぶやいていたら、即コンタクトとって「HUBにいるから来ない?」と誘う。直接フィジカルにコンタクトがとれる。日本だと(社会的事業に関する情報は)誰かがそれを訳してくれていたり、フィルターが必ずかかっている。気軽に第一次情報にアクセスできるというところが面白いです。

ロンドンでは「Impact HUB」は2005年から始まっていて、現在は4つ。社会的事業に関わっている人にとっては東京駅やハチ公前みたいなもの。みんなが知っている場所。HUBをつくった人に「東京にはこういったハブはないのか?」と訊いたら、「ないけど、つくる?」と。空港と同じで、トランジットがないと入ってくる人も降り立つ人はいない、そして知識や情報も入ってこない。海外の起業家たちのカンファレンスに出席しても、いつも日本人はひとりだけでした。(多くの日本人が)海外に出かけてそういう場に出向けないなら、日本に同じような場所をつくってしまえばいい。そうすれば機会は増える! そう思い、帰国し会社を辞め、1年後に運営を始めていました。

コワーキングスペースの横にも外へと開かれたちょっとした憩いの場が。集える場所をつくることが、新しい仕事を生み出すための必要条件。

Photo : Yusuke Miyake

本物のコワーキングスペースに必要なのは内外のエネルギーが集う場  

―コワーキングスペースに必要不可欠なシステムとは?

集まるエネルギーがある状態。それをつくるのはイベントスペース。100人入ります。古めかしいものではなく、ライブハウス。自由につかえて、フレキシブルに使いたい人が使いたいだけ。そのスペースがあることで、内外の人が出入りできる。出会いの場です。一定の価値観を共有する人たちがイベントスペースやラウンジで集まってくる。仕事しているだけでは会えない人たちに会えるんです。普通の会社ではなかなかないこと。それを生み出すのが私たちの仕事です。

  • 槌屋 詩野/ 「株式会社HUB Tokyo」共同創設者兼代表取締役 
    国際協力NGO勤務を経て、シンクタンクにて環境・社会的責任投資分野で事業プロデューサーとして活動。その後、途上国および欧州で日本企業のソーシャルビジネスを担当する。2012年より東京に戻り起業し、ソーシャル・スタートアップのコミュニティ、Impact HUBの東京拠点「IMPACT HUB Tokyo」を設立。2013年より起業家育成プログラムを「Team360」や海外からの起業家プログラムを担当、年間数十名の起業家たちの最初の一歩を踏み出す手伝いをしている。
     
    http://hubtokyo.com/ 

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