特集 2015/6/29(月)
“ユニセックスな職場”「株式会社HUB Tokyo」槌屋 詩野共同創設者兼代表取締役 

【Vol.2】女性を活かす職場の作り方

働く女性を応援するイベント、「エル・ウーマン・イン・ソサエティ」。盛況のうちに終了した6月13日(土)に登壇した女性リーダーたちに、女性が働きやすい職場づくりについて訊ねる連載がスタート! 職場から見えてくる“理想の働き方”を追求しようという本企画の第二回目は、起業家たちが仕事場を共有するという新しい形態の職場=コワーキングスペース「株式会社HUB Tokyo」の共同創設者であり、代表取締役の槌屋詩野さんにインタビュー。「Impact HUB Tokyo(インパクト・ハブ東京)」は単なるコワーキングスペースではなく、世界73都市に展開するグローバルな起業家達のコミュニティ、「Impact HUB」の一員としても機能しているが、そんな社会的事業に関わる女性たちが好む、ユニセックスな職場とは?

キッチンではコーヒーなどをドリップしたり、作ってきた料理をシェアしたり、果てはここで調理して振る舞う人も。誰が掃除をするのか気になるところだが、ホスト(IHTではスタッフのことをホストと呼ぶ)だけに頼らず、大抵は自主的に掃除されているそう。

Photo : Yusuke Miyake

経営者ではなく働く人のニーズがつくる“職場”   

―ここまで整えるのは資金も大変だったのでは?
 
もともと印刷工場だったところをリノベーションしました。他の借主候補の方は、倉庫として検討されていたそうです。それこそ最初は、段ボールに板を載せたりして、机として使っていました。ここは400坪あるのですが、通常リノベーションには一坪2、30万円かかる。私たちはそこまでかけていません。それぞれ起業家であるメンバーたちと一緒に作るという形で進めてきました。皆に壁を塗ってもらったりして……。少しずつ資金を貯めては、お金が貯まる度に直すと言う形で今に至ります。最近では3Dプリンターを持ちこんでくれて、私たちが新たに用意した作業スペースに配置し、コミュニティに使い方を教えてくれたりと、ユニークな箇所も多々あります。
 
「Impact HUB」というネットワークは、年々増えているグローバルなアントレプレナーたちのコミュニティであり、東京の拠点がここになります。東京でメンバーになっている人が150名くらいいて、メンバーには様々な事業を行う人がいます。NPOの人や個人事業主、テック系の人や経営コンサルタントもいれば、ボタニカルアーティストも。3Dプリンターの例を言えば、たまたまメンバーにそれを使っているスタートアップがいて、そういう仲間がを増やしたいという気持ちから始まっています。ハードウェア・スタートアップや、デバイスを開発する人たちをもっと増やしたい。なので、3Dプリンターなどのファブリケーション機材をを設備としてもっていれば、さらにそういう人たちがメンバーとして集められるのではという期待もありました。設備をはじめ、IHT自体がメンバーのニーズによって成り立っています。
 
ここで顔を合わせることで新しい仕事が生まれます。メンバーが自分の仕事のなかで、あるお客さんからの案件を「自分ひとりじゃなくて、もっと自分の専門を超えた仲間と一緒にやらないと対応できない」と考えた時、コミュニティのなかですでに知り合って、人柄や仕事ぶりがわかっているプロフェッショナルのほうが信用できる。そして、IHTのなかでチームをつくって受託していたという例もあります。 

フリーアクセスを目指す企業は増えているものの、その前に必要なのはフレキシブルに“変えられる”設備。IHTのコワークスペースは、テーブルそのものがおもちゃのブロックのように増減が簡単にできるように設計されている。

Photo : Yusuke Miyake

フレキシブルでひとつひとつの個性を活かすワーキングスペース

―具体的にコワーキングスペースとして工夫したポイントは?

最近リノベーションしているのですが、また少しテイストが変わりました。もともと工場の状態からスタートしているので、下手するとスチールパンク風になる。だからもっと温かみを大事にしようと……。今でも、静岡の古民家の床を再生して使ったり、温もりの残る素材を使うようにしています。施工会社にも話したのですが、「ここに来る人はひとりひとり物語をもっている。なので、置くものひとつひとつにもちゃんとストーリーがあって、既製品でないものがいい」と相談して、ひとつひとつ変えていっています。ラウンジの壁も木材を張りました。コワークスペースの机も、皆で組み立てました。すべてフレキシブルに解体でき、愛着や温もりがあって、kつ、すぐに自在に増やせるように建築家と考えて作りました。

  • 槌屋 詩野/ 「株式会社HUB Tokyo」共同創設者兼代表取締役 
    国際協力NGO勤務を経て、シンクタンクにて環境・社会的責任投資分野で事業プロデューサーとして活動。その後、途上国および欧州で日本企業のソーシャルビジネスを担当する。2012年より東京に戻り起業し、ソーシャル・スタートアップのコミュニティ、Impact HUBの東京拠点「IMPACT HUB Tokyo」を設立。2013年より起業家育成プログラムを「Team360」や海外からの起業家プログラムを担当、年間数十名の起業家たちの最初の一歩を踏み出す手伝いをしている。
     
    http://hubtokyo.com/ 

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