特集 2015/6/29(月)
“ユニセックスな職場”「株式会社HUB Tokyo」槌屋 詩野共同創設者兼代表取締役 

【Vol.2】女性を活かす職場の作り方

働く女性を応援するイベント、「エル・ウーマン・イン・ソサエティ」。盛況のうちに終了した6月13日(土)に登壇した女性リーダーたちに、女性が働きやすい職場づくりについて訊ねる連載がスタート! 職場から見えてくる“理想の働き方”を追求しようという本企画の第二回目は、起業家たちが仕事場を共有するという新しい形態の職場=コワーキングスペース「株式会社HUB Tokyo」の共同創設者であり、代表取締役の槌屋詩野さんにインタビュー。「Impact HUB Tokyo(インパクト・ハブ東京)」は単なるコワーキングスペースではなく、世界73都市に展開するグローバルな起業家達のコミュニティ、「Impact HUB」の一員としても機能しているが、そんな社会的事業に関わる女性たちが好む、ユニセックスな職場とは?

入口のミーティングスペースはメンバーであれば営業時間内は柔軟に使用可能。予約などの管理を厳しくしなくても成立するのは、メンバーたちのコミュニケーション能力の証拠。

Photo : Yusuke Miyake

子どもたちがロールモデルを見つけられるコワークスペース    

―“起業”というスタイルは女性にとっては優しいと思うのですが。コワーキングスペースとして女性に優しい場をつくっている意識はありますか?
  
(女性である)私が立ち上げているからかはわかりませんが、「Impact Hub Tokyo(以下、IHT)」メンバーには女性たちが多いです。結構気の強い女性たち。そして一筋縄ではいかない魅力的な人たち(笑) 彼女ら、彼らは子育てにも信条があります。ありきたりなことや、会社に押し付けられたり、みんながこうしているということに流されるだけではない方々が「パパ・ママ会」というのをつくって議論をしたりしてます。どうしても子供を預けられなくて、連れてくる方もいます。でも、みんな問題ない。代わりにスタッフが相手していたりする。受け入れてくれる環境は温かいと思います。

 
立ち上げのいちばん最初には、託児所をつくろうかとも思ったのですが、今の法律だと認可をとるのが難しい。いっぽうで男女関係なく、子どもがいない人もいる。性別やライフスタイルの分け隔てなく使用できる場所にしたいと思っていので、子どもが日常的にいすぎると、日常と仕事の境がなくなり、敬遠する人もいるかもしれない。ということで止めました。でも、緊急の時にはここに連れてこられる環境があります。ここを訪れるメンバーの子どもたちを「HUBベイビー」と呼んでいるのですが、近所の幼稚園に子どもさんを通わせているメンバーもいらっしゃって、「帰りにここに寄って、○○さんに会わせてから帰りたい」と、帰り道に遊び場として連れてこられる時もあります。だから、誰のメンバーの子が何ちゃんなのか、みんな名前を知っていたり、ラウンジに子どもがいても全然気にしなかったりという環境があります。
 
IHTでは両親だけが子育てをするものではなく、コミュニティが子育てを一緒にするというような一種のファミリーになりつつあります。それ私が求めていた姿でもあります。育児の話をここですることもあって、ありきたりじゃない教育がしたいと考えたとき、個性的なキャリアを歩んでこられたいろいろなロールモデルとなる方がいるので、子どもたちにとっても社会科見学になっています。

イベントスペースはワークショップなどを開催。間取りの大部分を占めるミーティングスペースの中央にあるのはなんとキッチン。仕事場というより、住宅の間取りを見ているよう。

Illustration : Nao Sakamoto

性差を意識させないシェアスペースから生まれるイノベーション  

―女性が多いことで、他のコワークスペースと違いが出た部分はありますか?
  
女性向けにつくっているものはありませんが、女性が多いことで(コワークスペースの)雰囲気は変わります。他のコワークスペースを運営されている方に話を聞くと、陥りがちなのが、お互い会話することもなくカフェの延長線上のようになり、男性メインのような場の雰囲気が作られるそうです。ここは自然とそうならず、コミュニケーションがしっかりできるようになります。優しい感じになっていますね。
 
あえて言えば、IHTはユニセックスな場です。LGBTの人もメンバーにいますし、性差を意識しなくていいんです。インテリアという意味でいれば、もともと工場なのでハードコア。ガレージのような雰囲気がワクワクするという女性が集まってきて、ユニセックスが楽しめる女性が集まる。私たちが目指すコミュニティのあり方のひとつとして、社会的な事業をする人たちとテクノロジーを融合させたいというものでした。
 
例えば、社会的事業をテック系の人たちと一緒にやれたらもっといい形になる。でも前者は女性も結構いますが、後者は男性が多い世界。性差を感じさせない職場であれば、ニュートラルに融合し合って、それも実現しやすくなると思います。

  • 槌屋 詩野/ 「株式会社HUB Tokyo」共同創設者兼代表取締役 
    国際協力NGO勤務を経て、シンクタンクにて環境・社会的責任投資分野で事業プロデューサーとして活動。その後、途上国および欧州で日本企業のソーシャルビジネスを担当する。2012年より東京に戻り起業し、ソーシャル・スタートアップのコミュニティ、Impact HUBの東京拠点「IMPACT HUB Tokyo」を設立。2013年より起業家育成プログラムを「Team360」や海外からの起業家プログラムを担当、年間数十名の起業家たちの最初の一歩を踏み出す手伝いをしている。
     
    http://hubtokyo.com/ 

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