多くのドラマシリーズがやりがちなのは第1話でそのドラマの世界とキャラクターたちを確立することに一生懸命になりすぎること。情報を与えられすぎた観客たちは窒息しそうな気分になってしまう。

「フリークス学園」の第1話はその対極にある。第1話だけでなく、シリーズ全編を通して微妙で捉えにくいドラマではあったけれど、第1話でももうその傾向は明らか。パイロット版で明かされるのはこのドラマの舞台が1980年のマッキンリー高校であることだけ。そして名ばかりの主役2人が登場する。

でもその主役の名前は第1話では出てこないし、観客たちはキャラクターたちがお互いのことを紹介するもっともらしい理由が出てくるまで待たなくてはいけない。観客はキャラクターの素性がわからないまま、彼らと一緒に過ごすことになる。

普通のドラマのストーリー展開とは大きく違い、これでは観客が離れていってしまう。このドラマが1シーズンしか続かなかったのもこれが一因だろう。しかし実はこのドラマは放送後、年々評価が高まっているのである。最初に挙げた趣旨--観客たちを新しい世界へと誘い、キャラクターたちに恋をさせつつ、来週も同じ時間にテレビの前に戻ってきてもらう--に照らし合わせれば、このドラマの第1話もこのリストにある他のドラマ同様、見事である。