特集 2015/2/13(金)

伊藤なつみさんが解説! 2015年グラミー賞をプレイバック

現地時間2月8日(日)に開催された第57回グラミー賞授賞式。受賞結果の分析からパフォーマンスのハイライトまで、音楽ジャーナリストの伊藤なつみさんが今年のグラミーのポイントを徹底解説!

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「ハッピー」の特別バージョンを披露したファレル(写真上)と、ゴスペルナンバーを歌い上げたビヨンセ(写真下)。 photo : AFLO

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メッセージ性を強く打ち出した今回のグラミー

豪華な共演より、メッセージ性の強いパフォーマンスが目についたのも今回の特徴だ。3部門を受賞したファレル・ウィリアムスは、いつもとは違う「ハッピー」のパフォーマンスで世論からも絶賛された。英語やフランス語、日本語などで「今から言うことはおかしく聴こえるかもしれないけど(中略)、空の上では何もかも気にしない。なぜなら僕はハッピーだから」と真顔で語ってから、パフォーマンスがスタート。彼の衣装は映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のベルボーイを想起させたが、多勢のダンサーたちはフーディー姿で、2012年にフロリダ州で起きたフードを被った黒人少年がヒスパニック系白人の自警団員に射殺された事件を暗示する。また、中国人ピアニストのラン・ランが途中で演奏した際には、ファレルやダンサーたちは“撃たないで”というジェスチャーをして、2014年8月にミズーリ州で起きた黒人少年が白人警官に射殺された事件をイメージさせ、後半はゴスペル隊も登場し、最後はファレルが天に向けて言葉を投げかけた。
 
オバマ大統領もビデオメッセージで登場した。「アメリカでは女性の4人に1人がDVに遭っている」と、女性への暴力反対を掲げ、DVの被害者だった女性運動家が登壇した後に、ケイティ・ペリーが「バイ・ザ・グレイス・オブ・ゴッド」を熱唱。それまで被っていたパープルのウィッグを取り、ケイティが黒髪に純白ドレスで登場したのにも驚かされたが、この歌はラッセル・ブランドとのことを歌ったと思われるナンバーで、その選択にもビックリ。
 
プリンスは最優秀年間アルバム賞のプレゼンターで登場したときに、「本やブラックの命と同じように、アルバムも大切なんだ」とスピーチ。エンディングではビヨンセが熱唱、黒人運動の父であるマーティン・ルーサー・キング牧師がお気に入りというゴスペルナンバー「テイク・マイ・ハンド、プレシャス・ロード」を歌い上げた。

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text: Natsumi Itoh

  • 第57回グラミー賞授賞式は、3月22日(日)昼12:00より、WOWOWライブで字幕つきリピート放送!

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