特集 2015/2/13(金)

伊藤なつみさんが解説! 2015年グラミー賞をプレイバック

現地時間2月8日(日)に開催された第57回グラミー賞授賞式。受賞結果の分析からパフォーマンスのハイライトまで、音楽ジャーナリストの伊藤なつみさんが今年のグラミーのポイントを徹底解説!

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ステージから引き返すカニエに声をかけるベック。 photo : AFLO

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問題児カニエに対し、大人の対応をしたベックに軍配

今年のグラミー賞はどれも激戦で、特に最優秀アルバム賞は、ビヨンセ『Beyoncé』、エド・シーラン『X』、サム・スミス『イン・ザ・ロンリー・アワー』、ファレル・ウィリアムス『Girl』、ベック『モーニング・フェイズ』と、誰がもらってもおかしくない混戦ぶり。そして緊張感の高まるなか、ベックが受賞した。
 
90年代に一世を風靡したベックは、『ELLE』読者には2009年にシャルロット・ゲンズブールのアルバムをプロデュースしたことでもお馴染み。しかしここ数年は、脊髄損傷で活動を中断して治療に専念していた時期もあるそう。父は有名なミュージシャン、母はヴィジュアル・アーティスト、母方の祖父は前衛芸術家という家系に生まれ、その佇まいには賞争いとは無縁の仙人のような飄々とした雰囲気さえ漂う。プリンスに名前を呼ばれたときには本当に驚いた表情でステージに向かったが、そんな彼を追いかけてカニエ・ウェストが壇上に登ろうとしたために、会場の空気が一瞬にして固まった。特にビヨンセは、2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでのテイラーとの一件を思ったのか、「えええっ!?」という顔付きに。でもカニエはすぐに引き返し、逆にベックが「戻っておいでよ」と声を掛けていたのが印象的だった。
 
しかしカニエは直後のインタビューで、「もしグラミー賞が本物のアーティストにこれからも出演してほしいんだったら、お遊びはやめてほしい。そんな人たちとは一緒にはやってられないから。ベックもアーティストの芸術性というものをリスペクトして、賞をビヨンセに譲るべきだったんだ」と発言。それに対しベックは、カニエの才能を評価した上で、「その通りだね、僕もビヨンセが受賞すると思っていたんだ。だって、あのビヨンセなんだから」と大人の対応をして事なきを得た(NME.comより)。そのカニエはというと、テイラー・スウィフトと一緒にスタジオに入るつもりだと公表。ぜひとも、誰もが絶賛するような作品を作ってもらいたい。

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text: Natsumi Itoh

  • 第57回グラミー賞授賞式は、3月22日(日)昼12:00より、WOWOWライブで字幕つきリピート放送!

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