文化人が選ぶ! 2015年のMYベスト映画【大根仁さん編】
映画好きなエル読者の投票により、その年のベスト映画を決める「ELLEシネマ大賞2015」がいよいよ今年から開催! 読者投票に先駆けて、各界で活躍する文化人、著名人が2015年のベスト映画を選出。『モテキ』など話題作を次々と手掛け、今年は『バクマン。』が大ヒット中の映画監督、大根仁さんが選んだベスト映画2本をお届け!
大根仁さんのBEST2
『野火』
『マッドマックス~』と並ぶ、“劇場で観なければ意味がない映画”でした。終戦70周年とか、安保法案とか、戦争について考えさせられる機会が多かった今年ですが、あの映画の申し子・塚本晋也監督が戦争映画を撮った、いや撮らざるをえなかったことは、戦争映画がありとあらゆる映画の中で特別なジャンルであり続ける理由まで考えさせられました。シンプルに「戦争怖い、ヤバい」だけではなく、『野火』には戦争=戦場という究極の状態における禁断のエクスタシーも表現されていたと思うのです。過去の戦争映画の傑作も全てその両極が描かれていたと思います。すなわち、戦争とは人間の業や喜怒哀楽を超えた感情を表現するのに最も適した舞台だと。また、優れた物語が生まれる環境でもあると。そのことが長年のファンである塚本晋也監督の映画で確認できたことがよかった。
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大根仁/1968年、東京都出身。映画監督、演出家。「モテキ」「湯けむりスナイパー」などのTVドラマで手腕を発揮し、『モテキ』で映画監督デビュー。『恋の渦』『バクマン。』などの話題作を手掛けるほか、舞台演出やミュージックビデオ監督、コラム執筆など幅広く活躍中。音楽やサブカルチャーに造詣が深い。ドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧』が12月26日(土)公開。
http://www.crescendo.co.jp/creators/one.html