【1990年代編】永久保存版!伝説の女優クロニクル
2017/07/20(木)
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'70年生まれ。180㎝超えの長身に見事な卵型の顔。15歳でモデル事務所と契約し、女優の道へ。'20年代ファム・ファタル風の黒髪ボブでマフィアのボスの妻を演じた『パルプ・フィクション』ほか、『カウガール・ブルース』('93)、『ガタカ』('97)など時代の気分を捉えた鋭い作品が多数。

大きい! 細い! 強い! 躍動するクールな造形美

ユマ・サーマン

ベルリンの壁が崩壊し、数十年にわたって世界に緊張をもたらしてきた冷戦構造が終結を迎えたのが'80年代の終わり。しかしそれを喜ぶ間もなく湾岸戦争が勃発。'90年代の権力地図はより複雑に書き換えられ、グローバル資本とも絡み合って人々の生活を変えてゆく。パソコンとインターネットの普及はより風通しがよく豊かな社会の可能性を切り拓いた一方で、新種のストレスを生み格差を広げもした。世紀末に向けて新自由主義がじわじわと弱者の生活に影を落としてくるかたわらで、多様な価値観を肯定する新しいカルチャーが花開いた時代だ。音楽の世界では「オルタナティブ」がジャンルとして広く認知されるようになった。
 
こうした流れを受けて人気を集めたのは、美人コンテストで優勝するような健康的で華やいだ〝みんなの憧れの的〞とは違う、ちょっとひねくれたはみ出し者の存在感のある女優たち。この頃、'60年代から'70年代に若者として反権力・反主流派のカウンターカルチャーを牽引した世代の子供たちが成長して文化の担い手になりはじめたのも大きいだろう。たとえばユマ・サーマンの父親はチベット仏教の研究者。ウィノナ・ライダーは作家兼出版社を経営する父親のもとに生まれて幼少期をヒッピーのコミューンで過ごしており、名付け親はサイケデリック・カルチャーの伝道師ティモシー・リアリーだそうだ。

  • 『パルプ・フィクション』('94)
    『レザボア・ドッグス』('92)で衝撃的なデビューを飾ったクエンティン・タランティーノが、世界を唸らせた監督第2作。時系列がバラバラのオムニバス形式で、さまざまなドラマが錯綜するクライム・コメディ。

文・選: 野中モモ(ライター、翻訳家)
Photo: AFLO、GETTY IMAGES

  • 野中モモ
    ライター、翻訳家。音楽、映画、メディア史などの分野を手がける。著書『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』。訳書に『バッド・フェミニスト』(ロクサーヌ・ゲイ著)、『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』ほか。自主制作出版物オンラインショップ「Lilmag」の店主を務める。

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