ドロッとした気持ちを抱えていた学生時代
―劇中では、全裸で縛られて、ロッカーに閉じ込められたりしていましたけど、そういう肉体的な大変さより、内面の方がハードそうですね。
内面的な部分の方がハードといえば、そうです。ただ冬だったので、本当に寒くて、最初全裸は死ぬんじゃないかと思ったんですけど、アドレナリンが出ているのか、意外と寒くなくなってきて、人は全裸でも生きていけるんだなと思いました(笑)。観音崎(上杉柊平)にボコボコにされて全裸にされて、ハルナ(二階堂ふみ)が体操服を届けに来てくれる場面は、机で見えないから腰から下は履いていてもよかったんですけど、それはそれですごく気を遣うんですよ。パンツがカメラに映らないように動かなきゃならないし、それが面倒臭くなっちゃって、前張りもしないで普通に“全裸でいきます!”ってやってました。もう感覚がおかしかったです。抵抗を感じている間がなかった。内面のことに必死で、「このシーンはどうしよう」とか、そういうことばかり考えていて、肉体的なことに関しては開放的でした。
―事前にどんな準備をしたんですか。あごのラインがとてもきれいに出ていたので、原作に近いなと思いましたが、痩せましたよね?
あんまり、筋トレをしてがっちりしても違うので、ただ単純に細くなればと食事制限したり、走ったりしてました。剣道をやっていたせいで肩幅があるので、そこは痩せてもちょっとカバーできなかったんですけど。
―90年代の高校生の青春ですが、共感することはありましたか。
若者の話なので、思うことがすごくいっぱいあって、キラキラした青春じゃなくて、若い頃特有の誰もが持ってるよくわからないドロドロしたエネルギー、そのエネルギーを何に変換したらいいのかとわからなくなってる感じ。この作品の場合はそれを暴力、ドラッグ、セックスに変換していますが、いまの時代もきっと、そういうことはあるんだろうなって思うんです。SNSにいったり、いじめはいまの時代もある。そういう悪いことをわからないまま、やってしまっていることは、誰にでもありうるだろうなって、原作を読んでいてすごく感じました。だからきっと、どの世代の人が見ても、こういう瞬間ってたぶんあるし、いまの若い人たちにもすごく刺さるだろうなって思いました。
―吉沢さん自身はどんな10代だったんですか。
自分のなかに、こういうドロっとしたというか気持ち悪い感じ、自分を気持ち悪いと思うような感情があったような気がします。僕はもとから根暗な人間で、いまだに自分のことを気持ち悪っと思う瞬間があるんですけど、10代の頃の方がより自分を気持ち悪いと思うことがすごくあった気がします。人に対しても、嫌な感情をすごくたくさん抱えていました。とはいっても、割とみんなそういう部分を見せないだけだと思いますけど(笑)。きっとみんな、そういうものを抱えて生きているものですよね。
Photo:Toshiki Hiraiwa Styling: Daisuke Araki Hair & Makeup:Manami Kiuchi(Otie) Interview & Text: Aki Takayama
-
Profile
吉沢亮/1994年2月1日生まれ、東京都出身。09年、「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」で受賞し、デビュー。仮面ライダーフォーゼの朔田流星/仮面ライダーメテオ役で注目を浴び、テレビドラマ・映画と活躍の場を広げる。主な出演映画に『アオハライド』(14)、『さらば あぶない刑事』『オオカミ少女と黒王子』(16)、『トモダチゲーム』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』(17)など。今年の公開予定作品は『ママレード・ボーイ』(4月27日公開)、『猫は抱くもの』(6月23日公開)、『あのコの、トリコ』ほか。
-
『リバーズ・エッジ』
ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)からいじめられている山田(吉沢亮)を助けたことで、彼から、河原に放置された<死体>の存在を打ち明けられる。後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)もまた、死体の秘密を知っているという。3人は不思議な友情で、結託していくが、ゲイであることを隠している山田にはカンナ(森川葵)というガールフレンドがいて……。閉ざされた学校生活のなかで渦巻く、爆発寸前の人間模様。90年代、雑誌「CUTiE」で連載され、青春漫画の金字塔として熱狂的支持を集めた岡崎京子の代表作の実写映画化。監督は行定勲。2018年2月16日公開。
http://movie-riversedge.jp/ -
問い合わせ先/
3.1 フィリップ リム ジャパン tel.03-5411-2870
http://31philliplim.jp/