2018年ブレイク度No.1。吉沢亮のミステリアスな素顔に迫る
2018/02/09(金)
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シャツ¥65,000、中に着たTシャツ¥18,000、パンツ¥78,000/すべて3.1 フィリップ リム(3.1 フィリップ リム ジャパン) 他/スタイリスト私物

掘り下げれば掘り下げるほどわからなくなる難役

―『リバーズ・エッジ』は登場シーンから衝撃的でしたが、脚本を読んだときの感想を聞かせてください。
 
最初に漫画を読んだんですが、「すごく面白いけど、実写化できるのかな」と思ったんです。岡崎京子さんの独特の雰囲気って、絵のパワーによって生まれているものがすごく大きい。絵からくるインパクトみたいなものが作品を盛り上げているもののひとつとして、絶対にある気がしたので、それを実写で見せるにはどうするんだろうとすごく思いました。でも、台本を読んでみたら、原作から来ている世界観がちゃんと描かれている気がしたし、漫画を読んでいるときにはわからなかった、「これって、どういうことなんだろう」と思っていたことが、意外と文字だけになってみるとわかったりして。そういう不思議なことがいろいろあって、これは面白そうだと思うようになりました。実際にやってみると、出演者のみんなが見た目も含めて、すごく役そのものって感じだったので、面白かったです。これはきっと、心配しているようなことにはならないだろうって、思い直しました。
 
―今まで少年漫画や少女漫画の実写化の作品に数多く出演していますよね。岡崎さんの作品はまた違った難しさがありますか。
 
やっぱり違いますね。原作ものでも、作品によって意識しなければいけないことや、別に意識しなくていいとかいろいろあります。この作品に関しては、原作のまんまやろうというつもりはないんですけど、それぞれの登場人物の深さがすごくて。作品自体もちょっと文学的というか。漫画って、説明してくれてるものが多いから、そこまで役を掘り下げなくても、読めばわかるようなものが多い。でも、この作品は人間の深さがすごすぎて、特に僕が演じている山田なんかは、掘り下げても掘り下げても、よくわからないという感じになってしまって、「山田ってどういう人間なんだろう」ということをひたすらクランクインする前も、インしてからもずっと考えていました。そんなことはこれまでやってきた漫画原作の作品では初めてかもしれません。
 
―山田について、どう考えていたんですか。
 
人間として、共感できる部分はいっぱいあったんです。だけど、「このとき、なにを考えているか」が、わからなかったですね。例えば、山田のなかでは死体と(片思いをしている上級生である)トオルという存在が一番大きいんですが、その存在の仕方って真逆なんです。山田はゲイでいじめられっ子で、キラキラした世界から切り離されている人間なんですが、彼にとってトオルはすごくキラキラしていて、誰もが憧れるような男の子で、山田もまた憧れている。一方で、死体はどうしようもない自分を肯定してくれる存在。山田はこの全然違う二極のものを両方とも、愛している。そういうのもすごく面白いなと思うんだけど、山田って周りの人間をどう思っているんだろう。彼自身、どういう時に感情が揺れるんだろう。そんな風に考えてみたら、いろいろと果てしなくて。最後までよくわからないまま、終わってしまいました(苦笑)。
 
―そんな役はこれまで、ありましたか。
 
もちろん、掘り下げようと思ったら掘り下げられるんですけど、作品によってはわかりやすさみたいなものを求められることもあって、そういったことをやる必要がないときもあります。そういう意味で、この作品は掘り下げれば下げるほど、深く掘り下がっていって、闇がすごいことになっているんです。彼のことをずっと考えてやっている瞬間というのは苦しくもあり、楽しくもあり、こういう経験はこれまでなかったかもと思いました。

 

Photo:Toshiki Hiraiwa Styling: Daisuke Araki Hair & Makeup:Manami Kiuchi(Otie) Interview & Text: Aki Takayama

  • Profile
    吉沢亮/1994年2月1日生まれ、東京都出身。09年、「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」で受賞し、デビュー。仮面ライダーフォーゼの朔田流星/仮面ライダーメテオ役で注目を浴び、テレビドラマ・映画と活躍の場を広げる。主な出演映画に『アオハライド』(14)、『さらば あぶない刑事』『オオカミ少女と黒王子』(16)、『トモダチゲーム』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』(17)など。今年の公開予定作品は『ママレード・ボーイ』(4月27日公開)、『猫は抱くもの』(6月23日公開)、『あのコの、トリコ』ほか。

  • 『リバーズ・エッジ』
    ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)からいじめられている山田(吉沢亮)を助けたことで、彼から、河原に放置された<死体>の存在を打ち明けられる。後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)もまた、死体の秘密を知っているという。3人は不思議な友情で、結託していくが、ゲイであることを隠している山田にはカンナ(森川葵)というガールフレンドがいて……。閉ざされた学校生活のなかで渦巻く、爆発寸前の人間模様。90年代、雑誌「CUTiE」で連載され、青春漫画の金字塔として熱狂的支持を集めた岡崎京子の代表作の実写映画化。監督は行定勲。2018年2月16日公開。
    http://movie-riversedge.jp/

  • 問い合わせ先/
    3.1 フィリップ リム ジャパン tel.03-5411-2870
    http://31philliplim.jp/

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