『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』、 これを知ると10倍面白くなる!
これまで見てきた映画は約2万本! 『ZIP!』などで活躍中の映画評論家・松崎健夫さんが独自の視点で解説する「映画ゼミ」連載企画第9弾。今回は、ハリウッドの2大スターが共演する大人のサスペンス映画に迫る。
『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白』
もう1本。アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞に輝いた『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白』(03)を観ると、この時代をさらにより深く理解できる。国防長官ロバート・マクナマラの名前は『ペンタゴン・ペーパーズ』の劇中で忌むべき相手として何度も登場するが、本作ではブルース・グリーンウッドが演じている(彼がジョン・F・ケネディ大統領を演じている映画『13デイズ』(00)もお薦め)。
『フォッグ・オブ・ウォー』では、核戦争によって世界が壊滅寸前の危機にあったという衝撃の事実が、マクナマラ自身の口から語られている。この映画を観ると、『ペンタゴン・ペーパーズ』で描かれているロバート・マクナマラという人物に対する印象が少し変化するに違いない。
text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO
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松崎健夫(まつざき・たけお)
映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。
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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
“ペンタゴン・ペーパーズ”は、アメリカ国防総省のベトナム戦争に関する極秘報告書。ある日、その文書が流出し、一部が「ニューヨーク・タイムズ」によってスクープされた。「ワシントン・ポスト」で働くアメリカ史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、政府を敵にまわしても残りの文書を入手するべく奔走する。監督スティーヴン・スピルバーグ。3月30日、全国公開。