全米で大ヒット! 『ワンダーウーマン』に女性が熱狂する5つの理由
2017/08/25(金)
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理由3:

強さとキュートさをもつヒロインに共感できる

1971年生まれのパティ・ジェンキンス監督は、アメリカ空軍のパイロットだった父親の仕事の関係で、子供時代はカンボジア、タイ、ドイツ、イギリスなどの国々を転々としたという。彼女が世界中で、様々な国籍、人種や貧富の差のある人たちと接してきた経験は、ワンダーウーマンの仲間の人員構成という点にも活かされている。
 
また『ワンダーウーマン』には、女性監督ならではの視点、ともいうべき演出が。例えば、怪力で車を投げ飛ばしたり、男たちを次から次へと倒してゆく場面。その痛快さは“強くて美しい女性ヒーロー”だからということだけでなく、女性視点で肉体を美しく描いていることにも起因している。
 
さらに注目すべきは、英国を訪れたワンダーウーマンが百貨店で試着をする場面。肌の露出が多いアマゾン族の衣裳から、当時のファッションに着替えてゆく姿を連続して見せているのだが、その姿はまるで次から次へと衣裳が変化してゆく“着せ替え人形”のような様相。アイスクリームを初じめて味わう場面などと相まって、彼女のキュートさを引き出すことに成功している。
 
事実、僕が試写で『ワンダーウーマン』を拝見した折、前席に座っていた女性陣が上映後にこの場面を評して「かわいい!」と連呼していた。男性はもちろんだが、女性も憧れるヒーロー像を導いたのは、まさに男性では思いつかないような演出を施した賜物なのだ。

text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO, GETTY IMAGES

  • 『ワンダーウーマン』
    女性だけが住むパラダイス島で生まれた“ワンダーウーマン”ことダイアナ(ガル・ガドット)は、アマゾン族のプリンセスとして育てられてきた。ある日、不時着したアメリカ人パイロットのスティーブ(クリス・パイン)を助けたことから、ダイアナは外の世界で大きな戦争が起きていることを知る。彼女は世界を救うためスティーブとともに故郷を後にし、禁断の外界で平和のために戦うのだが……。1941年に漫画のキャラクターとして誕生してから76年。初めての実写映画化となった『ワンダーウーマン』は、全世界で大ヒットを記録。また本作は、DCコミックのヒーローたちが活躍する連作<DCフィルムズ・ユニバース>の第3作としても製作されたという経緯がある。8月25日より、全国公開。

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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