スカヨハ主演、『ゴースト・イン・ザ・シェル』を徹底研究!
2017/04/06(木)
> <

3/3

『デスノート』もこの夏、公開!

日本アニメの影響と、今後のハリウッド映画化

 

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が影響を与えたハリウッド映画と言えば、日本でも大ヒットした『マトリックス』(99)。ランダムな数列が文字になってゆく表現やプラグに接続されるという設定、キアヌ・リーヴスのアクション場面などが酷似していたことが話題となったが、監督のウォシャウスキー兄弟(当時)はその影響を公言していたほど。
 
『AKIRA』や『カウボーイビバップ』をはじめ、最近では『宇宙戦艦ヤマト』の実写映画化にGOサインが出たと報道されるなど、ハリウッドが日本のアニメーションの映画化権を獲得したというニュースは多々耳にしてきた。しかし残念ながら、多くの作品が映画化にまでたどり着いていない。『寄生獣』に至っては、ハリウッドが2005年頃に取得した映画化権の期限が切れたため、日本で映画化されたという経緯があったほど。実は、ハリウッドのメジャー映画会社で実写映画化された作品は、これまで『スピード・レーサー』(08)と『DRAGONBALL EVOLUTION』(09)の実質2本しかないのである。(※)

SF映画の歴史を変えた『マトリックス』(99)にも、日本アニメの影響が! Photo:Aflo

とは言え、実写映画化が叶わなくとも、日本のアニメーションが与えた影響は大きい。ギレルモ・デル・トロ監督は『パシフィック・リム』(13)に登場する巨大ロボットに日本のアニメの影響を語っているし、ニール・ブロンカンプ監督は『第9地区』(09)に『超時空要塞マクロス』の影響があると語っている。さらに、板野一郎や金田伊功といったアニメータが描いた作画は、『トップガン』(86)や『バトルシップ』(12)の飛行描写・発射描写などにも影響を感じさせる。

永井豪原作の日本アニメをモチーフにしたイタリア映画、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。5月20日より公開予定。

またヨーロッパ各国では、1970年代頃から『キャンディ・キャンディ』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』などの日本のテレビアニメが放送されていた。それらを見ていた世代が今やクリエイターとなり、イタリアでは永井豪の『鋼鉄ジーグ』をモチーフにした映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(15)が製作され大ヒットを記録している。
 
 今後も『デスノート』(17)がハリウッドで実写映画化され、Netflixで8月25日から全世界配信されるなど、日本のアニメーションの影響からは目が離せない!

(※注 アニメ化されていない『オールドボーイ』(13)、独立系映画会社製作・配給の『カイト/KITE』(14)や『ガイバー』(91)、ハリウッド製作ではない『ラスト・ブラッド』(09)や『ベルサイユのばら』(79)、日本が製作主導の『クライング・フリーマン』(96)や『北斗の拳』(95)、などの例はのぞきます。)

Text: Takeo Matsuzaki

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へセレブコラム一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト