話題沸騰!「山田孝之のカンヌ映画祭」衝撃の舞台裏に迫る
2017/02/17(金)
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6話では、カンヌ映画祭の常連監督、河瀨直美監督も登場!山田孝之に「私の映画に出れば、カンヌで主演男優賞をとれる。出てみる?」とオファーするという驚きの展開に!

カンヌの申し子河瀨直美さんを直撃。そこから見えてきたのは…… 

松崎: 今回は映画製作を扱ったドキュメンタリーでもあるわけですが、お二人は国際映画祭に対してどのような意識を持っていらっしゃいますか?
 
山下: この番組、これからもすごいゲストが出てくるんですけど、そんな「ガチの映画人」に会うと自分の気持ちに嘘が付けなくなり、カンヌへの見方も変わりました。第5話でナント三大大陸映画祭の小山内照太郎さんに、「カンヌの人たちが山下さんの映画を褒めている」とうかがったときは、思わずニヤっとしてしまったり(笑)。あれは本当に嬉しかったんですよ。
 
松江: カメラ目線でドヤ顔でしたからね(笑)。
 
山下: 僕はこれまで、商業とかマーケットという視点で映画祭を捉えたことがなかったんです。カンヌは「芸術映画の最高峰」というイメージがありましたが、実はマーケットやしがらみがあることが見えてきた。例えば夕張のように、そうではない映画祭も多いです。それは「映画祭り」みたいな感じなのですが、カンヌやヴェネチア、ベルリンになると、祭りなんだけど「展示会」みたい。
 
松江: 正装したうえの祭りだよね。タキシード着た上での。
 
山下: そこで選ばれたとか選ばれてないとかというのは向こうの判断で、そこに向けて作るか作らないかもこちらの意識の問題なんです。ところが僕は、カンヌを意識していなかったと思っていたつもりが、どこかで意識していた。同世代の深田晃司君が『淵に立つ』(16)でカンヌ行ったことで「おぉ!」となったし。ただ本気でカンヌを目指すかと言われると、今はあんまりないんですよね。カンヌって、映画界や芸能界の華やかなある種のパーティだなって気がするので。
 
松江: 僕は、この企画の前から思っていたことが確信になったというのがあって。というのは「国際映画祭目指す必要がなければ目指さなくてもいい」と思っていたんです。それよりも大事なのは、映画を作り続けることだと思います。例えば、フランス資本が入って国際的に作品を売るという目的が明確だったら、カンヌを目指さなければならない。けれど今回やったことをきっかけに「そこにこだわらないほうがいいんだな」と思いました。
 
松崎: 第6話では、山田孝之さんたちが、奈良の河瀨直美さんに会いに行って、カンヌで賞を獲る秘訣を聞きに行きましたね。

Photo: KEI MASUDA

山下: 河瀨さんにお会いして、やっぱりカンヌを目指して映画を作る人って独特だなと思いましたね。「私、カンヌ目指してない」とおっしゃっていましたが、やはり全身からカンヌが溢れ出ているんですよ。スピルバーグからのメッセージが書かれたポスターを張られているオフィスでの取材でしたから、よけいそう感じたのかもしれませんが。

松江: 河瀨さんにとって、奈良とカンヌは繋がっているんだと思う。“カンヌとおばあちゃん家とがトンネルか何かで繋がっている”みたいな。そういう人はやはり独特で、僕らが考えている映画とは違う映画の使命があるんだなと思いましたね。河瀨さんにカンヌの申し子みたいな印象があるのはそのためではないかと。
 
山下: 僕たちにそれはできない。
 
松江: そうだよね。かつての伊丹十三さんみたいに“ヒットするために映画を作る”とか“〇〇のために映画作る”というのは、やはりキツいなと今回をもって思いました。「ひとりの人間がいて、映画を作る。それが結果的にうまくいけばいい」と第6話でギヨーム・ブラックさんが語っていたお話の方が僕はしっくりきた。だから、それが逆転した瞬間に何かがおかしくなるのではないかと。カンヌで会ったいろんな映画人を見てそう思いました。ただ、山田孝之は逆なので、今怖いです(笑)。
 
松崎: それは松江さんがいつも「これが面白いのではないか?」という視点で映画を作って来られたからでははないですか?
 
松江: あまり意識し過ぎると大変なことになる。今後、山田孝之が恐ろしいことをしだすのでお楽しみに。大変なことになります、本当に頭おかしいです(笑)。

  • (C)「山田孝之のカンヌ映画祭」製作委員会

    「山田孝之のカンヌ映画祭」
    2016年夏、俳優・山田孝之に呼び出された山下敦弘監督は、彼から「世界最高峰のカンヌ映画祭で賞を取りたい」と告げられる。ふたりはそのことをきっかけに、カンヌで賞を取るための映画製作を開始するのだが……。
    テレビ東京・テレビ大阪ほかにて 毎週金曜日 深夜0時52分より放送中(地域によって放送日時が異なります)
    http://www.tv-tokyo.co.jp/yamada_cannes/

Text: Takeo Matsuzaki

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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