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息子のデビュー作『アンチヴァイラル』の出来は?

『アンチヴァイラル』は、ブランドンが書いたオリジナル脚本によるもので、セレブリティ・マーケットが過熱する中、セレブが感染したウィルスを販売するクリニックが舞台だ。
 
同じウィルスに感染することによって、昂揚感を得ようとする熱狂的なファンによって支えられている。主人公のシドは、そこの注射医師で、自分の体内にウィルスを注射して、クリニック外に持ち出し、それを闇マーケットに売りさばくというアブない商売に手を出している。ある日、美人セレブのハンナのウィルスを注射したところ、正体不明の体調不良に悩まされ始めたシドは、彼女のウィルスを狙う犯罪組織からも狙われ始める……。
 
なんとストーリーだけ聞くと、初期の父デヴィッドが映画化してもおかしくないようなSFスリラーだが、ちょっとグロ度は低く、今どきの若者らしくライトでスタイリッシュだ。ブランドン曰く「父親とは仲がいいいし、趣味も似ているのは認めるよ。でも、人間としては、まったく違う人物だよ」。
 
作風の類似に関しては、賛否両論だが、今後の作品でその“違い”が顕著に表れてきたときこそ、ブランドンの映画監督としての正念場になることは間違いない。

  • 『アンチヴァイラル』
    監督/ブランドン・クローネンバーグ
    出演/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、サラ・ガドン、マルコム・マクダウェル
    配給/カルチュア・パブリッシャーズ、東京テアトル
    公式サイト/http://antiviral.jp
    2013年5月25日(土)、シネマライズほか全国ロードショー

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text : Atsuko Tatsuta

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