スイスで知るブランドの姿とクリニックでの癒し
「ヴェレダ」の本社があるのはドイツ・フランス国境にからほど近いスイスの山あいの街、アーレスハイム。人智学の祖として知られる哲学者ルドルフ・シュタイナーがその創設に携わり、原料は自社のバイオダイナミック農園や世界各地の産地でフェアトレードにより調達。安定した雇用やフィーでパートナー関係を築くことで、持続可能かつ環境に配慮した製品づくりを行う。
そうした説明を本社スタッフから聞きながら本社内を見学。クリーンでシンプルな建物の中でマミさんの目に入ったのは、薬品原料の貯蔵庫に並ぶおびただしい遮光瓶の数々。天然由来原料の品質にこだわり、そのベストなパフォーマンスを究める「ヴェレダ」では、世界中から採取された植物や鉱石などの素材の研究と開発に努めている。300種を超えるハーブを含む実に1600種もの原料が、化粧品や薬品の製造のためにここ、本社のラボで出番を待つ。
「ヴェレダ」では、120種類の化粧品、そしてなんと1100種類もの医薬品を製造している。欧米のドラッグストアやアポティケ(薬局)では、コスメと並び、OTC薬品やホメオパシーなどが置かれている。ホメオパシーのレメディにも精通したマミさんは、「D1」「D2」と数字の順に色が薄くなった液体のボトルをひとめ見て「これポテンシーですか」と質問。植物の力を最大限に引き出すために、液体原料の希釈を繰り返して、そこに眠る潜在的な力を引き出すという作業を行う。ポテンシーとは、その希釈の回数と度合いを示したもの。メディカルアイテムを扱う「ヴェレダ」ならではのプレゼンテーションといえる。
「ホメオパシーにおけるポテンシーってとても概念的で理解が難しいですけど、こうして視覚化されているのってわかりやすいですね。ラボの棚にズラっと並んでいた瓶が日の光に透けて、美しくすら思えました。オーガニックコスメをつくるために、これだけの研究をしているんですね。だからきちんと肌に効くのだと納得」――マミさん
次に訪れたのは「アーレスハイム・クリニック」。1921年、ルドルフ・シュタイナーが、オランダ生まれの女性医師イタ・ヴェーグマンとともに開いた診療所が始まりなのだそう。現代医学と人智学を融合させて治療や幼児教育を行うという、世界初の画期的な医療機関だった。
ここでは治療やセラピーに、音楽や絵画などの芸術を用いる。シュタイナーとヴェーグマンは、リズム=波動が肉体的・精神的に及ぼす力に着目。ゆえにリズムや音をベースに、診療や治療、薬品づくりを行っていた。ここでは今でもそうした独自のメソッドが継承されている。
診療室や入院病棟、オイリュトミー(音楽や詩に合わせて体を動かすセラピー)を行う施設やハイドロセラピーのための設備も備えるクリニック内部を案内されるなか、マミさんが特に印象的だったと語るのは、建物内部の壁の色合いや板張りの天井。
「優しいピンク色の壁や、温かみのある板張りの天井、杉板でしょうか。この建物の中にいるだけで心が穏やかになるようです。クリニックって人を癒すところだから、こうあるべきですよね。これもシュタイナー哲学の一環なのですね」――マミさん
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マミ・キーナン
Mami Keenan/ジュースバー「スカイハイ」オーナー兼プロデューサー、ローフード認定シェフ、ファッションフォトグラファー。1993年に写真を学ぶためNYへ渡る。幼少より玄米菜食が中心の生活を送っており、NY在住時にビーガン&ローフーディストへ転向。その後、LAのローフードスクール「Living Light Culinary Institute U.S」認定シェフに。2012年、東京・青山に「スカイハイ」1号店をオープン後、2015年5月には3店舗目となる広尾店をオープンさせる。著書『ジュースクレンズ・ダイエット』(マガジンハウス)も好評。
http://skyhigh-tokyo.jp/
http://sekikawa-office.com/category/fashion-mami/ -
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問い合わせ先/ヴェレダ・ジャパン 0120-070-601
http://www.weleda.jp/
photo: Mami Keenan