フレンチ女優は赤リップなしでは語れない
現代のフレンチセレブたちにもそれは継承されている。しかも彼女たちはもっと自由にエフォートレスな感覚で赤を自分の味方に、ときに最強の武器としている。オドレイ・トトゥの笑顔を彩る赤は太陽のような輝きと温もりで周囲を照らし、マリオン・コティヤールの赤は誰よりも雄弁。明から暗へ、哀しみから喜びへ、瞬時に変わる表情をデフォルメする。ヴァネッサ・パラディは20代のコケティッシュな赤から30代の挑戦的な赤、40代の毅然とした赤へと女の成長とともに変貌する赤の多面性を見せつける。
マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)
映画祭やレセプションなど公の場には赤口紅で登場することが多いマリオン。彼女の魅力や表情の豊かさの鍵を握っているのは唇。それを知っているから、ここいちばんのときは赤のインパクトに頼る。
ヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)
年齢を重ねるとともに女性としての魅力も人間的な深みも増していくヴァネッサ。赤口紅はそのときどきの心のあり様を映し出しているようで目が離せない。
photo : GettyImages, Aflo text : Shoko Matsuzawa