自分を託せる色、それが赤
体を巡る血がその人固有のものであるように、赤は身につける人によって表情を変え、固有の魅力に変換される。“ほかの人とは違う”個性に最大の重きをおくフランス女性にとって、赤はそうした意味でも自分を託せる色。
映画『昼顔』でカトリーヌ・ドヌーヴが着た真紅のスーツは、背徳の薫りと気高さを同時に感じさせて神々しいまでの美しさだし、ブリジット・バルドーの赤いニットやリボンは彼女をフレンチロリータの象徴として人々の記憶に刻みつけた。'60年代はピンクやオレンジの口紅がトレンドだったが、それでも女優たちがここぞという大舞台でまとうのは決まって真紅の口紅だった。
ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)
赤という色を愛らしくカジュアルに使いこなす術を編み出したのはBBだったのかも?と思わせる証拠の一枚。ステイン塗りで自然に仕上げた感じのリップもお手本にしたい。
photo : GettyImages, Aflo text : Shoko Matsuzawa