特集 2016/1/3(日)
トレンドイインサイト 5

世界のガストロノミーで、タイ料理が躍進中!

「アジアのベストレストラン50」といったランキングで、タイ料理のレストランが快進撃。屋台料理のイメージも強いタイ料理だが、世界に認められるのはどんな料理なのだろう?

左 ライムを効かせた豚肉のサラダ「ムーマナオ」。バタフライピーの花などをあしらった美しいひと皿。 右 タイでは知らない者はいない、“料理の鉄人”イアン・キティチャイ。

タイのスターシェフによる
斬新なアプローチ
 
シドニーの有名フレンチやタイの高級ホテルを経て、人気テレビ番組「アイアンシェフ」で“鉄人”となったイアン・キティチャイは、NYにも店を持つ、タイきってのセレブシェフ。話題の店を次々と打ち出すイアンによるタイ料理レストランが、「イッサヤー・サイアミーズ・クラブ」だ。色鮮やかな花やハーブを用いた、まるで宝石のように華やかな盛り付け。料理によっては調理から仕上げまでをゲストの目の前で行うという派手なプレゼンテーション。築100年の優雅なコロニアルスタイルの一軒家でサーブされる料理は、ドラマティックだ。「味、デコレーション、サーブの仕方までがひとつの料理作品。食事は五感で楽しんでほしいんです」
 
今でこそ華やかな経歴を持つイアンだが、16歳でロンドンに留学するまでは母が営むカレー屋台を手伝っていた苦労人。朝2時に起きて市場に買い物に行き、学校の始業前・後は、カートを引いてカレーを売り歩いたという。「そんな時代の母の味が、僕のタイ料理の原点。加えて、海外と5ツ星ホテルでの経験がプレゼンテーションのヒントに。伝統的な味を、斬新な見せ方で特別なひと皿に仕上げたことが、多くの人の心を掴んだのでは」と、「アジアのベストレストラン50」で31位に選ばれたことについて自己分析する。ハーブや野菜をふんだんに使い、東洋と西洋、古きよき時代と新しい時代、すべてのエッセンスが絶妙なバランスで融合したイアンの料理。それはまるで、辛い、酸っぱい、甘いなど、さまざまな味覚が見事なバランスで重なるタイ料理の特徴そのもののようだ。
 
今回取材した3軒に共通するのは、タイの文化と人々を敬い、もてなしの心をもって伝統の味を現代風にアプローチしている点。新しい海外文化の摂取に積極的なお国柄だが、外国人、あるいは海外へ出たタイの若い世代を中心に、“伝統文化の素晴らしさ”が見直され始めている。彼らによって世界へ発信されたタイ料理は今、世界中の人々をタイ独特の“味の構成”で魅了している。タイ料理界の探究者たちは同時に、最高の表現者でもあるのだ。

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text: Chinami Hirahara

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