北欧の冬のスイーツ「ラスキアイスプッラ」
バレンタインって何でしたっけ? フィンランドからはそんな声が聞こえてきそう。というのも、フィンランドの人々の間でこの時期に話題をさらうスイーツは、チョコレートではないのです! みんなが一度は食べないと気が済まない、北欧の冬の甘味に迫ります。
この時期のカフェやベーカリーでは、コントのように同じ光景が繰り返し見られます。
「ラスキアイスプッラあります?」
「すみません、今日の分はもうおしまいになってしまって……」
「そうか……。別のところを探すね。また!」
「はい、またどうぞー」
それはもうクリスマスのフライドチキンのように、はたまた節分の恵方巻きのように、人々は「ラスキアイスプッラ」を探してカフェからカフェへ、ベーカリーからベーカリーへ彷徨うのです。この「ラスキアイスプッラ」の正体は、菓子パン。スウェーデンではセムラと呼ばれています。カジヒデキさんの曲に『セムラ・ソング』もありますし、日本ではこちらの名前で知ってる! という方が多いかもしれませんね。
もともとは1700年代にスウェーデンで生まれたお菓子、セムラ。キリスト教の春の祝日であるイースター(復活祭)に連動する告解の火曜日に食べるお菓子として、1950年代にはフィンランドにも「ラスキアイスプッラ」が誕生したと言われています。ご覧の通りパンの間にホイップクリームがたっぷり詰まった甘~いごちそう。告解の火曜日からイースターまでの四旬節に断食をする習慣があったことから、ハイカロリーのお菓子をこの日にいただく習慣になったという説もあれば、本来ヨーロッパ諸国では「春の訪れ=太陽」の象徴としてこの日に丸い形のパンケーキを食べる習慣があり、ここからこのお菓子にたどり着いたとする説もあります。
2016年のちょうどこの時期に訪れたスウェーデンのヨーテボリで出会ったこのウィンドウ。
潔すぎる特大のセムラに圧倒されながら、「北欧ではもはや由来などではなく季節の味覚としてこのイメージが浸透しているのだなあ」と体感レベルで理解したことを覚えています。
>>次ページでは「ラスキアイスプッラ」のフレーバーをご紹介!
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Leipomo Keisari(レイポモ・ケイサリ)
Liisankatu 18, 00170 Helsinki
tel. +358(0) 40 747 1107
営業時間/7:30~18:00 土曜9:00~15:00
定休日/日曜
http://www.keisari.com/
Chjoko(ショコ)
Liisankatu 9, 00170 Helsinki
tel. +358(0) 400 199 868
営業時間/平日9:00-18:00、土10:00-16:00
定休日/日曜
http://chjoko.com
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歌野嘉子(うたのよしこ)●留学、現地旅行会社勤務を経て、ヘルシンキにてコーディネート事務所を主宰。個人旅行、ウェディング、各種メディアコーディネートのほか、デザインアパートメントホテルを運営。美味しい食事とお酒、美しい器があればほかにはなにも要らない!
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