特集 2017/3/20(月)
世界のおやつ from Bologna / Mari

イタリアの“父の日スイーツ”といえば、揚げシュークリームのゼッポレ!

一年中、四季折々のイベントにまつわるドルチェで賑わうイタリアのパスティッチェリア(菓子店)。春の陽気を一気にもたらしてくれた黄色い「トルタ・ミモザ」からバトンを受け継いだのは、父の日を祝うドルチェ「Zeppole(ゼッポレ)」。日本では5月に母の日、6月に父の日と続きますが、イタリアの父の日は、毎年3月19日。イエス・キリストの養父「San Giuseppe(サン・ジュゼッペ:聖ヨセフ)」を祝う日のため、ただ単に「ゼッポレ」ではなく「Zeppole di San Giuseppe(ゼッポレ・ディ・サン・ジュゼッペ:聖ヨセフのゼッポレ)」とも呼ばれています。

水、バター、塩を合わせて沸騰させたあと、小麦粉と卵を加えたシュー生地を絞り袋に詰め、驚くような手早さでリング状に絞り出していきます。その後、5分ほど生地を休ませ、クッキングペーパーにくっついたままの状態で170度の油の中へ生地を投入!

生地を揚げながら、クッキングペーパーの上からちょんちょんと押していると、そのうち自然と紙が剥がれてきます。生地がふっくらと膨らんでいく様子は見ていて飽きません! 何度も丁寧に上下をひっくり返しながら、5分ほど揚げてシューは完成です。

カスタードクリームは、シューの裏側3か所から注入。このひと手間でシュー生地全体にクリームがいきわたり、食べた時の満足感もアップするんですね。さすがプロの技! そして、もちろん表面の穴にも、またもや驚くようなスピードでたっぷりとカスタードクリームをオン!

そして、たっぷりの粉砂糖を振りかけ、アマレーナ(サクランボのシロップ漬け)を飾って完成です。

揚げたてのゼッポレを手に取ると、ふんわりと柔らかく、ほんのりとした温かさが幸せな気持ちを運んでくれます。「Zeppola(ゼッポラ(※):3ユーロ)」と小さい「Zeppolina(ゼッポリーナ:1ユーロ)」がありますが、写真はミニサイズのゼッポリーナ。甘さ控えめのカスタードクリームに、アマレーナと粉砂糖の主張し過ぎない甘さが加わり、ほっこりとした優しい味で、年を重ねたパパでもどんどん手が出ちゃいそうな父の日ドルチェ。とはいえ、揚げ物なので食べ過ぎには禁物です(笑)!

2~3個作るのを見せてくれるのかと思いきや、手早くこんなにたくさん作ってくれました。カメラを向けると「日本に行ってゼッポレ作るよ」と微笑んでくれたフランチェスコさん。「イタリア人だからイタリアのドルチェを作り続けたい」と言う彼に、「レジーナ・ディ・クアドリ」にいらっしゃるお客様に味わってもらいたいドルチェを3つ挙げてもらいました。1つ目は日本人好みの繊細な甘さの「Millefoglie(ミッレフォリエ:ミルフィーユ)」。2つ目は師匠から代々178年間も受け継がれてきたという天然酵母を使った「Colomba(コロンバ)」などのパン菓子。そして3つ目は宝石のように艶やかな「Mignon(ミニョン:小さなドルチェ)」たち。
 
※Zeppola(ゼッポラ)はZeppole(ゼッポレ)の単数形。Zeppolina(ゼッポリーナ)はZeppolaの指小辞形。

晴れた日にゆったりとくつろげるテラス席に腰を掛け、イタリアドルチェ界のエースが手掛ける絶品ドルチェとカプチーノを片手にほっこり♡ ボローニャの街のように、染み入るような奥深い味わいをじっくりと味わえるはずです。
 
さて、ボローニャからのおやつレポートは、今回が最終回となりました。次男出産後2週間で初取材に赴いてから約4年。今では一人前に話す息子の姿を見ると、編集部の皆さまには長い間貴重な機会を与えていただいたのだな、と改めて感謝の気持ちでいっぱいです。また、これまで温かく読んでくださった読者の皆様にも心から感謝いたします。イタリアはこれまでご紹介した以外にも、まだまだ数えきれないほどのドルチェやグルメ食材であふれています。今後も形を変えてイタリアの魅力を発信し続けていければと思っています。アリヴェデルチ!(Arrivederci、またお会いしましょう!)

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  • Regina di Quadri(レジーナ・ディ・クアドリ)
    Via Castiglione, 73/A, 40124 Bologna(BO), Italia
    tel. +39 051 644 6201
    営業時間/6:30~21:00、日曜7:30~20:00
    定休日/月曜
    http://www.pasticceriareginadiquadri.it/

  • Mari●大手経営コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして勤務後、2006年に渡伊。2人の男の子のマンマをしながら「フェリチターリア」の通訳・翻訳者、FAI(イタリア環境基金)認定の文化・芸術メディエーターとして、「食の都」ボローニャを中心にイタリアの魅力を発信中。
    http://www.felicitalia.net/

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