【あなたの知らないフード経済学】チェーン店ばかり街にあふれるのはどうして?
本誌別冊付録『ELLE Cooking』の連載「あなたの知らないフード経済学」はチェック済み? スーパーマーケットに並ぶ食品やシェフが作り出すグルメな一品は、一見つながらないようで実は、経済との密な関わりをもっているかも……。食を見る目が変わるかもしれない、フードと経済の遠くて近い関係を、飯田泰之さんが解説!
事柄、毎週のように日本国内のさまざまな街に出張しています。地方へ行った際には出来る限りの時間をつくって、土地の盛り場や商店街を歩くようにしていますが……その際にふと、「自分がどこにいるのかわからなくなる」ことがあります。少なからぬ土地で急速に﹁街の姿﹂が似てきているのです。駅前にロータリーがあり、大きな駅であれば駅前ビルやビル同士をつなぐ歩道橋が張り巡らされ、全国に展開するファストフード店やコンビニ、居酒屋、ファミリーレストランなどの看板が目立つ。商店街であればこれにドラッグストアとカラオケルームが加わる感じでしょうか。
標準的な品質の商品・サービスを安い価格で提供する全国展開のチェーン店に対し、地元資本の店や個人店舗がコストパフォーマンスに劣る傾向があるのは否めません。しかし、「どこにでもある店」ばかりの街は、それがいかに便利だったとしても、急速に衰退する運命にあります。「便利さ」を売りにした街は東京に、大阪に、各地方の中枢都市に敵いようがない。その結果、人口の流出を止めることは出来ないのです。その地方、その街にしかない個性的な店があり、その場にしかない商店街の雰囲気があるからこそ、地元出身者の愛着が生まれ、またよその人たちが訪れ、ときに移住する動機となるのです。
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教えてくれたのは……
飯田 泰之さん Yasuyuki Iida
明治大学政治経済学部准教授、内閣府規制改革推進会議委員、シノドスマネージングディレクター。テレビのコメンテーターとしても活躍。『これからの地域再生』(晶文社)が好評発売中。 -
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text : Yasuyuki Iida illustration : FERN CHOONET