特集 2018/1/2(火)

【あなたの知らないフード経済学】メニューが多いと満足度が下がる!?

本誌別冊付録『ELLE Cooking』の連載「あなたの知らないフード経済学」はチェック済み? スーパーマーケットに並ぶ食品やシェフが作り出すグルメな一品は、一見つながらないようで実は、経済との密な関わりをもっているかも……。食を見る目が変わるかもしれない、フードと経済の遠くて近い関係を、飯田泰之さんが解説!

illustration : FERN CHOONET

 スーパーの陳列担当者になったつもりで考えてください。お店のジャム棚に商品を陳列する際に、ジャムを6種類に絞り込んだ場合と、さまざまな味やメーカーの24種類のジャムを揃えて置いた場合。売り上げが多くなるのはどちらでしょうか?陳列するジャムが6種類だけだと、「お客さんがちょうど探していたジャム」がないせいで売り上げを逃すかもしれません。お客さんにとっても「多彩な選択肢があったほうがよい」はず……と考えてしまいがちですね。しかし、コロンビア大学のアイエンガー教授らの実験では、陳列するジャムを6種類に絞り込んだほうが、最終的な売り上げが10倍近くになったのです。ここでのポイントはふたつです。

第一が、この味、このメーカーでないと買わないという、こだわりの強い消費者はそう多くはないという点。多くのお客さんには「探しているジャム」などないのです。このような漠然とした気持ちで商品棚を眺めている人にとって、多彩な選択肢は望ましいものではありません。むしろ、考える手間が増えて煩わしいと感じてしまうことでしょう。さらに、多彩な選択肢から選択すると「もしかしたらあっちのほうがよかったかも」という後悔(?)が生じやすくなり、購買後の満足度が下がるという報告もあります。

  • 教えてくれたのは……
    飯田 泰之さん Yasuyuki Iida
    明治大学政治経済学部准教授、内閣府規制改革推進会議委員、シノドスマネージングディレクター。テレビのコメンテーターとしても活躍。『これからの地域再生』(晶文社)が好評発売中。

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text : Yasuyuki Iida

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