娘、ナタリーが語る、「ニットの女王」ソニア・リキエルの素顔
2016/11/19(土)
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孫のサロメ、娘のナタリーと一緒に。2008年、パリ・サンジェルマンにて。

たくさん楽しみ、たくさん苦しんだ――勇気こそが母の美徳

ELLE : あなたの人生に後悔はありますか?
 
ナタリー : いいえ、まったく。母は私を束縛したけれど、私自身も母から遠ざかることを決して望まなかったの。それはときどきとても高くついたけれど、自分の人生には責任を持たなくちゃね。母から逃げることもできたのに、逃げなかった。彼女のおかげである種の強さと豊かさを持つことができたので、私は何も後悔していません。母には私が本当に必要だったし、私も違う行動を起こすという人生を思い描けなかったの。もちろん、私は彼女のために時間や労力をたくさん費やしたし、私の娘たちにも迷惑をかけたけれど、それはそれで満ち足りた幸せな生活でしたよ。娘たちにとっても、特別なお婆ちゃんをもったことは、人生におけるご褒美だと思っているわ。 
 
サロメ・リキエル (ナタリーの娘): 可愛いお婆ちゃんだったわ。私が子どもの頃には、「何か問題があったら、私に電話してちょうだい!」とだけ言うために、毎晩電話してきたわ。あとは「大豆は手で食べるものよ」と嘘をついて、私にいたずらをするように仕向けてくるの。彼女はきっと祖母を演じていたのね。 ファッションウィーク中は母はとてもナーバスになっていたけど、私は祖母の撮影に一緒に立ち会うために学校が終わると急いで彼女を探したわ。そしてサンプルの靴やドレスを試着して楽しむの。祖母はほんのわずかなディテールまでこだわるくらい注意深かったのよ。

ドキュメンタリー映画撮影時のワンシーン。スケッチについてディスカッションするソニア(右)とナタリー(左)。2000年。

ELLE : 彼女はあなたに何か価値として伝えましたか?
 
ナタリー : 不可能な望みを抱くこともできるし、もし何かや誰かを望むなら、それを手に入れるためにあらゆることをしなくちゃいけないと、母は私に教えてくれました。彼女は粘り強かったけれど、激しい不安でいっぱいの女性でもあったわ。決してバラ色の人生ではなかった。いつも嘆き声や苦痛を伴いながら、彼女はたくさん楽しみ、たくさん苦しんだ。彼女はとても勇気があり、この美徳を私に伝えてくれた。道徳的な勇気――それは私が自分に認めている気質よ。母は病気に対して信じられないくらい戦った。そのことを尊敬すると同時に、彼女を支えようと決心しました。いま、彼女が残した服を着ながら、私はとても誇りに思っています。

Photo: GETTY IMAGES  Interview: OLIVIA DE LAMBERTERIE

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