【1999~2003年】異端児ミゲル・アドローバーのやりたい放題事件
事件の詳細
今や天才とされているミゲル・アドローバーも当時は、無謀で失礼極まりない若きデザイナー。「バーバリー」のトレンチコートを解体してリメイクしたり、「ルイ・ヴィトン」のバッグをスカートに仕立てたりとやりたい放題。(当時はデザイナー同士のコラボレーションという概念はなく、ミゲルは自分たちでこれらのブランドアイテムを調達するしかなかった。ミゲルのコレクションに登場した「ルイ・ヴィトン」のバッグは、ある雑誌の倉庫から盗まれたサンプルとの噂も!?)。ミゲルは、アメリカの国旗をパッチワークしてドレスにしたほか、あるショーでは生きたヤギを登場させた。しかも、このヤギがとんだディーバぶりを発揮し、ランウェイを一切歩かなかったのだとか。2001年9月9月に行われたショーでは中東にインスパイアされた「ユートピアコレクション」を発表した。
そしてその後……
2001年9月11日のテロの2日後、ミゲルは中央情報局(CIA)と一悶着を起こしたのをきっかけに、彼の投資家のビジネスが破綻し、実質的にブランドを終了することになる。あるエディターはミゲルのローワー・イーストサイドでのショーを思い出してこう語った。「出入り口が一カ所しかない会場で、みな火災時の心配をしていた。フォトグラファーの撮影場所があるエントランスに立っていたが、アナ・ウィンターが入ってきて、写真を一枚だけ撮って去っていった。それでもショーは続いたが、これがミゲルの引退を決定付けることになった」そんなミゲル・アドローバーは今、故郷のマジョルカ島でコーヒーショップを経営しているらしい。
Translation & Text:Yo Douglas Photo: Getty Images、AFLO