40平米でおしゃれに暮らす、パリのデザインカップルの屋根裏部屋へ潜入!
インテリアデザイナーのマルゴウ・ベジャと、インダストリアルデザイナーのトマ・プジョルは、ふたりで暮らすためのアパルトマンへの引っ越しを終えたばかり。彼らの新居は、わずか40平米とは思えない、美しく贅沢なパリの屋根裏部屋だった。
「私はまず最初に、この部屋をデザインするための約束事を書き出したの。〝強い要素がないと、空間はまとまらない〞というのは、大学で教わったいちばん大切なことだったから」と話すのは、エコール・ブリュを卒業した、注目の若手インテリアデザイナーのマルゴウ・ベジャ。インダストリアルデザイナーとして活躍するトマ・プジョルと暮らすためにこの部屋の改装に取り掛かった際のことを、そう振り返る。こうして、パリの古いアパルトマンの最上階、屋根裏のわずか40平米とは思えないミニマルで美しい空間が生まれた。
40平米の部屋の中で、唯一設けられた寝室との間仕切り。アイアン製のフレームとガラスで仕上げられた扉は、空間全体の印象を引き締めている。改装前の空間は、壁によっていくつかの部屋に分かれており、狭く暗い印象だった。マルゴウとトマのふたりは、最初にどんどん壁を取り壊していった。そして、最後に残った寝室との間仕切りも、取り壊してアイアンフレームのガラス扉に変更することに決めたのだ。「40平米をどう広く見せるか、そのためにできる限りのことをしたと思う。素材と色を限定すること、空間を仕切りすぎないこと、そして、ものを隠すこと。この約束が、部屋を美しく快適なものにしてくれた」とふたりは言う。
「オークとウォルナットと、ブラックカラー。使う材料や色彩も制限することで、空間を広く見せるよう工夫した」と語るのはトマ。壁面収納の扉材として使用されたのは、モロッコ産のウォルナット材。豊かな木目がミニマルな空間に映える。
さらに、床材にはシンプルなオーク材を使用。白を基調とした壁面と同様、インテリアのアクセントとなるウォルナット材を引き立てながら、温かみのある質感をプラスしている。そして印象的に使われているのが、黒。リビングの壁面に作られた暖炉のためのニッチは、内部に黒い塗装を施すことで、グラフィカルかつ空間の水平方向を伸びやかに強調してくれている。
「キッチンでも、リビングの隅にいても、視界の邪魔になるものはすべて取り除きたいと思っていた。このリノベーションは、大成功といっていいと思う」とマルゴウ。初となる共同プロジェクトとなったこの家が高い完成度で実現したことに、満足げな様子でふたりは笑った。
photos : ROMAIN RICARD text :CLÉMENCE LEBOULANGER cooperation : TETSU NARITA
-
エル・デコ最新12月号は、美しい収納術からパリのアパルトマンまで、冬の暮らしを楽しむためのアイディアが満載!このマルゴウ・ベジャと、トマ・プジョル部屋のほかにも、4軒のアパルトマンを掲載!ほかでは見ることのできない、パリの空間術をチェックして。購入はこちら!