一騎打ちの作品賞。サプライズの可能性は?
Y :最後はいよいよ作品賞。ここは『スリー・ビルボード』か『シェイプ・オブ・ウォーター』の二択ですね。
O :『レディ・バード』の線はない?
S :ないと思います。トロント映画祭のときは誰も何も言ってなくて、全米公開されてニューヨーク映画批評家協会賞で騒がれ始めて。好きな人は好きな作品で、よくできてると思うんですけど、こういう映画は前にもあった。
Y :既視感があるんですよね。『ゴーストワールド』的な。
S :すごく共感できる話なんですけどね、ヒロインが田舎から都会に出てきてっていう。
O :1位じゃないけど、2位とか3位に入れたい作品ってことですね。そうなると受賞は難しいのかも。
S :ただ、去年はみんな『ラ・ラ・ランド』だと思っていて外れたから、今年も何かしらありそう。オスカーは投票形式が厄介なんです。1本ずつなら想像しやすいけど、作品に順位をつける。だからみんながまんべんなく好きな作品が入ることが多い。『ラ・ラ・ランド』はみんなが「いい!」というから「そうか?」という人も出てきて。結局、みんなが好きな『ムーンライト』になった。
Y :今年はデルちゃんにあげたいわ〜。『パンズ・ラビリンス』で取れるって言われて脚本賞ノミネートで終わっちゃったから、ここでちゃんとあげるのがオスカーとしてもいいと思う。
O :『シェイプ〜』はトランプ批判を込めたって公言してますけど、その影響は?
S :ないでしょう。アカデミーはみんなトランプ嫌いですから。ハリウッドはトランプの敵。トランプ批判は最近ではもう天気の話みたいなものです(笑)。
-
●作品賞
『レディ・バード』
『ゲット・アウト』
『スリー・ビルボード』
『君の名前で僕を呼んで』
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
『ファントム・スレッド』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ダンケルク』
Text: Mirei Hirose
-
【座談会参加メンバー】
猿渡由紀/LA在住映画ジャーナリスト。ハリウッドスターや映画監督のインタビュー、撮影現場レポート、コラムなどを日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿。今年のオスカー関連の個人的な推し作品は、3回鑑賞した『ゲット・アウト』。
よしひろまさみち/映画ライター。情報誌、女性誌、ウェブサイトなどで映画レビュー、インタビュー記事を連載。日本テレビ系『スッキリ!』などで映画コーナーも担当。個人的な推し作品は、ティモシー・シャラメくんが美しすぎる『君の名前で僕を呼んで』。
オスカーノユクエ/アカデミー賞、全米興行収入の話題を主にレポートするサイト「オスカーノユクエ」管理人。個人的な推し作品は、脚本力が見事な『スリー・ビルボード』。http://oscar-no-yukue.com/