ベテラン揃いで大注目の助演男優賞
Y :さて、ここからは各部門の話を。まずは助演男優賞から。
S :助演男優賞はベテラン揃いで誰が取ってもおかしくない状態ですけど、サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』)でしょうね。
O :『スリー・ビルボード』からは、サムとウディ・ハレルソンの二人が助演男優賞にノミネートされてるんですよね。実はひとつの作品で同じ部門に二人ノミネートっていうのは1991年の『バグジー』以来で、すごく久しぶり。これまでも二人ノミネートって17回しかなくて、そのうちどちらかが受賞してるのは5回だけ。票割れの可能性があるから、その不安要素はありますね。未見なんですけど、ウィレム・デフォーの『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』ってどうなんですか?
Y :すごくいい映画でしたよ。デフォーはモーテルの管理人で、乱暴ではあるけど超絶いい人の役。デフォー以外の役者はみんな素人で、彼だけがプロなんです。で、デフォーが浮かないようにバランスを取ってたのがうまかった。
S :この部門には『All the money in the World』でケヴィン・スペイシーの代役を務めたクリストファー・プラマーも入りましたけど、さすがプロ。急に脚本を渡されたと思えないほど、すごくうまかった。最初から彼にしておけば、無駄な時間もお金もかからなかったのにね(笑)。あと、『シェイプ・オブ・ウォーター』のリチャード・ジェンキンズもよかったですね。
Y :憧れの人に会うためにカツラかぶったり、可愛かったじゃな〜い。個人的にはジェンキンスにあげたいけど、サムの演技を見ちゃうとね。彼にあげないわけにはいかない。
S :サムの受賞は順当だけど、この部門は全員にあげたいですね。
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●助演男優賞
ウィレム・デフォー(『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』)
リチャード・ジェンキンズ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)
クリストファー・プラマー(『All the Money in the World(原題)』)
サム・ロックウェル(『スリー・ビルボード』)
ウディ・ハレルソン(『スリー・ビルボード』)
Text: Mirei Hirose
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【座談会参加メンバー】
猿渡由紀/LA在住映画ジャーナリスト。ハリウッドスターや映画監督のインタビュー、撮影現場レポート、コラムなどを日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿。今年のオスカー関連の個人的な推し作品は、3回鑑賞した『ゲット・アウト』。
よしひろまさみち/映画ライター。情報誌、女性誌、ウェブサイトなどで映画レビュー、インタビュー記事を連載。日本テレビ系『スッキリ!』などで映画コーナーも担当。個人的な推し作品は、ティモシー・シャラメくんが美しすぎる『君の名前で僕を呼んで』。
オスカーノユクエ/アカデミー賞、全米興行収入の話題を主にレポートするサイト「オスカーノユクエ」管理人。個人的な推し作品は、脚本力が見事な『スリー・ビルボード』。http://oscar-no-yukue.com/