特集 2017/7/21(金)

5分でポップ・アートが語れる4つのキーワード

タイムズスクエアに受話器を取ると移民たちの声が流れる電話ボックスが登場。混迷する社会に訴える手段としてのアートが増え、ますます注目を集めるNYアートカルチャー。その代名詞といえば「ポップ・アート」の名を挙げるが多いけれど、説明しろと言われると難しい!? ウォーホールやリキテンスタインといった名前以外でも押さえておくべきポイントを数回にわけて説明。まず第一回目は、ミラノからアート&カルチャー情報を発信する若柳サラさんが、ポップ・アートが生まれた背景を5分で解説! これを読めば、あなたも明日から知ったかできる……はず。(注:ただし読了時間には個人差があります)

クリスティーズで5,840万ドルで落札されたジャクソン・ポロックの「No.19, 1948」。

Photo : Aflo

大衆に愛されるなら芸術家魂なんてどうでもいい!

このムーブメントが流行する直前は、ジャクソン・ポロックなどのアクションペインティングが最新の流行になっていた。アーティストが自身の前にキャンバスを置き、長期間で作品を完成させるというスタイルが一般的だったのに対し、アクションペインティングは床にキャンバスを置き、感情や感覚に任せて絵具を直接滴らせるという革新的なスタイルだったので「新しい!」と話題に。その手法からもわかるように、それまでは作品の主人公といえば、アーティスト自身の感情から湧き上がる創作意欲や感覚など、主観的なものが中心だったと言える。主観なので当然、観る人によって好き嫌いがはっきり。でも、ポップ・アートは「新しい」と言われたそんなアクションペインティングの価値観もひっくり返してしまった。それまでと違いコマーシャル重視、大衆に愛されるためなら作家の個人的感情や感性ともさようなら。非常に客観的で冷淡な制作物であるからこそ、皆に好まれる正真正銘なポピュラー・アート(大衆芸術)となった。
 
その結果、ポップ・アートの代表的な作品として今でも挙げられるのは、大量印刷が可能な、何色にもプリントされたマリリン・モンローのポートレートや、コミックや写真などを素材に用いたコラージュ。 消費社会と非常に密接な関係となったポップ・アートは、アメリカを中心に世界中へ広がっていった……。(次回へ続く)
 
※次回はウォーホールなど超有名アーティストの背景を解説。お楽しみに

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Text: Wakapedia

  • 若柳サラ/ ミラノ生まれ。ミラノ大学 Comunication in arts marketing学科卒。パリ第三大学ソルボンヌ・ヌーベルMédiation Culturelle de l'Art修了。日伊英仏の国際的クリエイターが共同で発信する、アート&ファッションメディア「Wakapedia」主宰。『ロフィシエル イタリア』のコントリビューティング・エディターやプラダ財団公式日本語ガイドも務める。

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