今さら聞けないアカデミー賞10の常識
これまで見てきた映画は約2万本!「ZIP!」などで活躍中の映画評論家・松崎健夫さんが、彼ならではの人脈で映画の舞台裏やエルが見るべき新作を独自の視点で解説する「映画ゼミ」がスタート。これを読めば、映画が10倍おもしろくなるはず!!
今年もアカデミー賞のノミネーションが発表され、下馬評どおり『ラ・ラ・ランド』が13の部門で合計14つという最多ノミネートを果たした。しかし、ノミネーションはどのように決まるのか? そもそもアカデミー賞とはどんなアワードなのか?ということは、意外と知られていない。
世界には“3大国際映画祭”と呼ばれるフランスの「カンヌ国際映画祭」、イタリアの「ヴェネチア国際映画祭」、ドイツの「ベルリン国際映画祭」という歴史ある映画祭がある。ただ、その選考過程はアカデミー賞のそれとまったく違う。この3大国際映画祭では、まず、個々の映画祭に世界中から応募されてきた数千本の作品を事前選考で10本前後に絞り込む。そして5人〜10人ほどの著名な映画人や映画評論家などで構成される審査員が鑑賞し、作品の評価を競い合う“コンペティション”として賞を決める。つまり少人数の合議制によって受賞作品を決定するのだ。
ちなみに、アカデミー賞の前哨戦とも呼ばれているゴールデン・グローブ賞では、ロサンゼルスを拠点とする“外国人記者協会”に所属する90名前後の映画担当のジャーナリストが投票し、受賞作を決める。ならばアカデミー賞の場合は、どんな過程でノミネート作品や受賞作が決まるのか!? 今回の映画ゼミでは、今さら人に聞けない常識をおさらいしよう!
Text: Takeo Matsuzaki
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松崎健夫(まつざき・たけお)
映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。