ローファットフード
1994年
20世紀後半のこの時点で、アメリカ人はすでに肥満問題に悩んでいた。食物脂肪が原因とされ、冷凍ダイエット食品の「Lean Cuisine(リーン・クイジーン)」のような“ローファット(低脂肪)”で“ファットフリー(脂肪分ゼロ)”の既製食品のマーケットが開かれていった。1994年の『New York Times(ニューヨークタイムズ)』では、「低脂肪クッキーやクラッカーの『SnackWell’s(スナックウェルズ)』が、かつてアメリカのクッキー市場でNo.1だった『オレオ』の販売数さえも上回った」と報じられた。しかし、この脂肪をめぐる闘争は、予想外かつ極めて悲惨な結果に。というのも、いくら脂肪分ゼロのクッキーとはいえ、甘味料や炭水化物で高カロリーなことには変わりない。ハーバード大学の公衆衛生大学院・栄養疫学と医学大学院・薬学の教授であるウォルター・ウィレット医学博士によると、「アメリカ人の肥満はこの時期にさらに加速してしまった」そうだ。
original text : Helin Jung transtlation : Anri Tsushima photo : Getty Images