SNS賛成VS否定派! ファッション業界の新・仁義なき戦い勃発
2016/10/04(火)
> <

3/4

Movie: GettyImages

縄張り争いにジャッジを下す日

第三章・コレクションは“プロ”だけのもの?

SNSやネットの普及により、情報のスピード感がより重視されるようになった。

ヘアスタイリストやメイクアップアーティストのSNSを使用した自己PRのアリナシ論議で浮かび上がった事実は、顧客やユーザーは手っ取り早くトレンドをリサーチするなら、ファッション誌よりもインスタグラムを見ているということ。お気に入りのセレブの写真や一般人のメイクアップチュートリアルビデオを見る方が手っ取り早いから見ているということ。その早さに着目した、セレブコミュニティの活用した投稿や自身がセレブリティ化して情報を伝える表現方法は今後ますます増えるだろう。それに対して、アーティスト業界でSNS内での自己訴求の禁止や裏方に徹するべきというルールがあったわけではない。

ブロガーやインスタグラマーが、ブランドから提供された衣装をまといSNSやネットで掲載されることも、ユーザーや顧客はコレクションより早くトレンドをキャッチできるから見るというのが本音だろう。それをブランドが一種のマーケティングツールとして利用することは自然なことで、雑誌が広告収入を得ていることと同じであるかもしれない。そうした時代の変化により増えていくインスタグラマーやブロガーが、インフルエンサーとしてもてはやされるのは当たり前で、コレクション会場やファッションの現場に、“その道のプロ”しか来てはいけないという裏の掟などなかったはず。

本来はスキルやクオリティを見極められる業界で、キャリアの長短は関係しているか、という問いもある。しかし業界外の人ないしはキャリアが短い新参者がSNSやネット上で目立ち、顧客やユーザーに支持されることに目くじらを立てて内輪だけで完結してしまっては本末転倒。

コレクションはその道の人だけが楽しむものではなく、顧客やユーザーがいるという本質を忘れてはいけないはず。もしかしたら、こういった業界内の内紛や縄張り意識が、顧客やユーザー離れを起こす要因になっているのかもしれない。

中左から ハーミッシュ・ボウルズ(Hamish Bowles)、サリー・シンガー(Sally Singer)、ニコール・フェルプス(Nicole Phelps)、チオマ・ナンディ(Chioma Nnadi) Photo: GettyImages

SATCの時代と変わり、ミレニアル世代はお金や希望がない現実を直視しなければならない。ディナーの代わりに雑誌を買って、お腹がいっぱいになるほど現実はファンシーではないのだ。その雑誌が買えるぶんのお金で来月までネットフリックスを延長できるかどうか思案するのが本音だろう。スマートフォンさえあれば、ブロガーでなくても、エディターでなくても、ブランド自身が発信するライブストリーミングをオンタイムで観ることができる。

この世に永遠なものはない。それは、インスタグラムやツイッター、スナップチャットなどのSNSも、もちろんファッションメディアだってそう。トレンドの移り変わりが激しいファッション業界ではあるが、どの時代も顧客やユーザーが最大の評価者であった。この終わりなき抗争の勝敗、そしてファッション業界の未来を決めて今後のトレンドを生み出していくのは、顧客やユーザーであることには変わりないのだ。

Translation & Text: Ryoko Tsukada Photo: GettyImages

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へエディターズPICK一覧へ次の記事へ

ELLE PR STORIES

注目ブランドをもっと見る

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト