SNS賛成VS否定派! ファッション業界の新・仁義なき戦い勃発
2016/10/04(火)
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SNS世代若手アーティストVS業界重鎮スクワッド

第一章・メイクアップアーティスト、“裏方職人” VS “セレブ気取り”

 

We grind from Mon-Fri, eat Fri-Sun #TGIF #GirlsNight

Celebrity Hairstylistさん(@jenatkinhair)が投稿した写真 -

一連の騒動の最初の引き金となったのは、メイクアップ&ヘアアーティスト間で起きたセレブネットワークを活用した自己PRはアリかナシかの論争。

発端は、「E!News」に掲載されたひとつの記事が、カーダシアン・ジェンナーファミリー御用達のヘアアーティスト、ジェン・アトキン(写真中央)のようにセレブのSNSネットワークを活用したり、自らもそのスクワッドの仲間入りをして、有名になるのは新しいビジネスチャンスだと肯定したことから始まった。同記事では、「フォロワー数は新たな通貨だ」とも記されており、それに対してアン・ハサウェイやキルステン・ダンスト、マーゴット・ロビーなど、超大物女優達を顧客に抱えるメイクアップアーティスト、パティ・デュブロフを筆頭にした、キャリアが長い重鎮プロアーティスト軍団が猛批判。その理由が主に3つ。

1)セレブと自分を同一視することなかれ
2)ソーシャルメディアでインスタント・サクセスを得るなどうらやまけしからん
3)フォロワー数の多さだけでブランドや顧客からの評価が決まってしまうのはどうも腑に落ちない

左から パティ・デュブロフ(Pati Dubroff)、ジェン・アトキン(Jen Atkin)、クロエ・カーダシアン(Khloe Kardashian) Photo: GettyImages

その今回の抗争を引き起こすきっかけとなった“アンチSNS”派の声明は以下だ。

パティ・デュブロフ(メイクアップアーティスト)/インスタグラム フォロワー数966,000人
「インスタグラムやスナップチャットにセレブとのセルフィーを載せるのは単にあなた方がまだそれで食べることができて、何とか生き残ってるということやあなたが仕事を失うんじゃないかというプレッシャーを知らせてくれるだけ。自分で撮ったセレブの写真や、大手写真通信社や雑誌に掲載されない限り、あなたはまだそこまでトップに上り詰めていないということ。あなた方はそのゲームをプレイしているけれど、ほかの人たちが同じゲームをプレイしているとは限らないのよ。ソーシャルメディアに注力を払うあまり、自分の顧客をぞんざいに扱うなんて危険な行為は私にはできない。私は顧客にサービスを提供するためにその場にいるのであって、その反対に自身のプロモーションのためにその場を利用するというのなら、そういう人はほかの仕事を探したらいいわ。それに、ブランドのスポンサーやときにはエディトリアルや広告の仕事が、ソーシャルメディアに投稿し、タグ付けすることによって得られるレバレッジを含めたブランドアウェアネスを狙ってフォロワー数の多さだけでアサインされるのはどうかしら。気持ち悪いけど、ビジネス的には説明がつくわ。私が多分いちばん腹が立つのは長年、しかもものすごい量の仕事をしているのに、フォロワー数が300万人に満たないことね。ただ、それを気にしないで仕事の価値だけを見てくれるブランドがあることも確かよ」

ホセ・リヴェラ(メイクアップアーティスト)/インスタグラム フォロワー数1,219人
「写真が撮れたり手に入ったとしても、肖像権やフォトグラファーの著作権を取らなければいけないから絶対にソーシャルメディアに載せたりしてはいけない。それにセレブと写真を一緒に撮るなんて、絶対にしてはいけないことでプロとして最低のビジネスマナーだと思う」

レイチェル・グッドウィン(メイクアップアーティスト)/インスタグラム フォロワー数469,000人
「今はフォロワー数が新たな通貨に取って代わったことは認めるわ。だけど、この数字がそのままその人の価値や技術を表すことでは必ずしもないの。多分、多くの人たちがこの数字に単に踊らされているだけだと思うわ。例えば私が2~300万人のフォロワーを得たとして、私の培ってきた技術がそれにそのまま反映されていると言えるのかしら?」

ジェン・アトキン(Jen Atkin) Photo: GettyImages

彼らアンチSNS派がやり玉に挙げているのは、ソーシャルメディア・ネイティブ世代のメイクアップアーティストやスタイリスト。批判する理由は、SNS上での人気者はその道の“プロ”ではないと考えるからだ。

ジェン・アトキンは最近自身のヘアケアラインを立ち上げ、主にジェンナー姉妹やクリッシー・テイゲンなどを担当しているが、その担当するセレブ自身がソーシャルメディア影響力ランキングトップに君臨する人たちばかり。そうなると、“仕事の一部”としてソーシャルメディアのエンゲージメントもクライアントから職務内容のひとつとして求められていることも確か。1,700万人のフォロワーをもつ彼女は、自身が主催するヘアスタイリストのためのウェブサイトで「be a nice human」と題したこの一連の騒動についての長文のオープンレターを披露。

「そもそも自分自身の全てをビジネスに変えてしまうカーダシアン家のせい」と「E!News」コラムの筆者で自身メイクアップアーティストでもあるシニヤ・バートンは記しているが、皮肉なことにプロ中のプロ、パット・マクグラスにコメントを求めたところ、彼女自身が実は精力的にこうしたソーシャルメディアを用いていているためか、「皆が違う道筋を辿ってきているし、違うクライアントを持ち、異なった才能を持っているものよ」と一喝されてしまったとか。

Translation & Text: Ryoko Tsukada Photo: GettyImages

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