エディターズPICK
2016/02/26(金)

あなたも意識すべき"agender(エイジェンダー)" が世界を動かす

ランウェイに登場した刈上げヘアのモデルが話題をさらった2016SSシーズン。彼女たちが象徴するのは、"agender(エイジェンダー)"という男女の性差にとらわれず「個」を尊重する新しい価値観だ。ファッション界にも波及するその潮流を、「ユナイテッドアローズ」上級顧問の栗野宏文さん、「NARS」インターナショナル リード メーキャップスタイリストの伊藤貞文さんとともに紐解く。

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ジャン・ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier),デヴィッド・ボウイ(David Bowie),ジェニー・シミズ(Jenny Shimizu) photo : Getty Images

あなたの美しさを高める“エイジェンダー”時代の到来

ジェンダーレスというトレンドは、これまでも幾度となく繰り返されてきたが、今の"エイジェンダー"とは明確な違いがある。それは、いたって"自然体"であることだ。
 
70年代に、男装の麗人さながら女性にタキシードを着せたイヴ・サンローランの革新的なスタイル提案をはじめとし、80年代のジャン・ポール・ゴルチエやデヴィッド・ボウイに代表されるアンドロジナス(両性具有的)的スタイル。「90年代にはジェニー・シミズのように性別をクロスオーバーしたアイコン的モデルの存在も注目を集めました」(NARS 伊藤さん)。
 
男女の垣根を越えることで得られるアンドロジナシスな魅力は、いつの時代もクリエイターにインスピレーションを与えてきた。では、最旬のジェンダーレス事情は何が違うのだろうか? 女性が肩肘張って男っぽく装うのではない。男子と女子を自由に行き来するような一歩進んだ、リベラルな感性だ。文化・社会へのメッセージとして"反対の性"を演じ、固定化された社会へのアンチテーゼを表現していた背景もあったかつてのジェンダーレスとは違い、性という濃度を薄めることで、個としての美を高める、とでもいうべきか。その人自身のライフスタイルに寄り添う極めてナチュラルなファッションでも成立するのが、いまどきのジェンダーレスの特徴といえそう。

  • 栗野宏文さん

    Hirofumi Kurino/「ユナイテッドアローズ」 上級顧問
    「ユナイテッドアローズ」にてバイイングやブランドディレクションに携わり研鑚を積み、現在は上級顧問・クリエイティブディレクションを担当。ファッションや文化を読み解くジャーナリストとしての一面もあり数々の媒体で取材・寄稿も行う。日本のファッションカルチャーを担うひとりである。
    http://www.united-arrows.co.jp

  • 伊藤 貞文さん

    Sada Ito/NARS インターナショナル リード メーキャップスタイリスト
    2001年ニューヨークから帰国後、NARS日本1号店のカウンターでメーキャップスタイリストのキャリアをスタートさせ、10年NARS インターナショナル リード メーキャップスタイリストに就任。各国のファッションウィークや、「エル」を始めとするモード誌、セレブリティのメイクアップ、広告、TV、MVなどで多方面で活躍。第一線の現場で培ったセンスを生かし、繊細なテクニックと感性で独自の世界観を創り出し続けている。
    http://www.narsjapan.com/

text : Naho Sasaki

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