エディターズPICK 2015/11/26(木)
早耳調査隊が行く!

【vol.3】大統領の消された妹:アメリカのファッション史を築いたケネディ家の女たちの光と影

ジャクリーン・ケネディ・オナシス、その妹のリー・ラジウィル、キャロリン・ベセット・ケネディ。ファッション・アイコンとして現在も影響を与えているケネディ家の女性たち。でもその陰で人知れず存在を葬られた長女がいた……。華麗なる一族に隠された悲劇の長女、ローズマリーの人生が最新の資料に基づき1冊の本「ROSEMARY The Hidden Kennedy Daughter」として出版されたばかりの今、ケネディ家の女性たちのパワーを振りかえれば、その分だけ強かった影の部分も見えてくるはず。第3回となる本日は33歳の若さで亡くなった悲劇のヒロイン、キャロリンをフィーチャー。

キャロリン・ベセット=ケネディ(Carolyn Bessette Kennedy)

アメリカの“王子様”との結婚生活の破たんと悲劇

マスコミを避けるため、キャロリンはほとんど外出しなくなった。子どもを欲しがる夫と世間から逃れたかった。コカイン吸引疑惑や抑うつ、DV疑惑などがあからさまに書きたてられたエドワード・クラインによる暴露本、「ケネディ家の呪い」が出るに至り我慢は限界を超えた。夫の姉、キャロラインとも口をきかない状態が続いた。2人は大司教に会い、マリッジカウンセリングに臨んだ。同年6月、ジョン・F・ケネディJrの従姉妹ローリー(ボビー・ケネディの末子で、ボビー暗殺の折に妻エセルが妊娠していた)の結婚式に招待され、一時は出席を拒んでいたが、姉ローレンの強い説得で式に参列することを決意。夫が運転する飛行機に搭乗し、事故により夫とともに帰らぬ人となった。事故の直前、キャロリンは最初で最後の雑誌の取材に応じている。ブルース・ウェバー撮影の『ヴァニティ・フェア』誌の表紙インタビュー。皮肉なことにそれは追悼号として発行された。
 

キャロリンが90年代、あるいはそれ以降のポップカルチャーに与えた影響は大きい。ニューヨークに“上京”し、ブロンドで、美しく、センスよくトップブランドの服を着こなし、例え薄給でもファッションに関連した仕事のような、華やかで、セレブリティにも近づきやすい生活を送っていれば、キャロリンのようになれるかもしれない。今年話題となった映画『ゴーン・ガール』では、妻エイミー役の役作りの為にキャロリンを参考にせよ、と監督デイヴィッド・フィンチャーが、エイミーを演じるロザムンド・パイクにアドバイスしている。映画『ゴーン・ガール』に出てくる世代は当然、キャロリン・ベセット・ケネディの事をほとんど理想化するまでに憧れた世代だ。
90~00年代を代表する人気ドラマ、「セックス・アンド・ザ・シティ」にも彼女の影響が見られる。原作の著者、キャンディス・ブシュネルは1958年生まれで、また時代の目撃者のひとり。
  
セレブリティを含む女性と数々の浮名を流した全てを持つ男を「マノロ」の靴で手に入れる……。キャリー・ブラッドショーのコンセプトはジョン・F・ケネディ Jrと実際に付き合っていたサラ・ジェシカ・パーカーのキャロリンに向けたオマージュだったのかもしれない。

>>最終回、生涯一家の恥とされ隠された大統領の妹、ローズマリー・ケネディの物語につづく

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Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada

  • (参考文献)
    ローレンス・リーマー「ケネディ家の女たち」
    Edward Klien 「Just Jackie : Her Private Years」 
    ネリー・ブライ「ケネディ家の悪夢 セックスとスキャンダルにまみれた3世代の男たち」 
    クリント・ヒル「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」

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