エル・エディターのOKINI
2016/06/10(金)
エディターのOKINI by KEIICHI

ゲスが極まるフランス名作不倫小説オリンピック

エディターが私的に夢中になっているものなどをリアルな目線でお伝えする、デイリー連載のOKINI! 今回は、ファッションフィーチャーエディターKEIICHIがゲス不倫キャラクターをご紹介。不倫小説の玉手箱、仏文学のゲス男キャラベスト3とは?

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家の本棚で発見。新潮社から出されていた堀口センセの翻訳は熱がこもりすぎているような気が……。

Photo : Getty Images

【金メダリスト】アンドレ・ジッド @『一粒の麦もし死なずば』

いよいよ金メダリストの発表です。ノーベル賞作家、アンドレ・ジッドその人。この小説はほぼ自伝なので、キャラクターというよりジッド本人が主役。なので、ご本人のゲスな人生を要約させていただきます。
 
少年期、従姉妹マドレーヌと“小さな恋のメロディ” → 思春期に「あれ、男が好きかも?」 → アフリカで死にかける → 「やっぱり男性が好き!」 → アフリカの少年たちとめくるめく××で開花 → 母、そんな息子に「あんた、さっさとあのマドレーヌちゃんとでも結婚なさい!」と圧力 → 母、従姉妹マドレーヌに結婚を強制 → マドレーヌ「絶対にイヤ。だってジッドが男好きだって知ってるもん」 → ジッド、母の圧力に負けて結婚。一生涯、マドレーヌには触れず放置プレイ → 妻悶々 → ジッド、男たちと好き放題 → なのに女性の愛人との間に娘をもうける。が、認知せず。「妻には秘密ね」 → 20以上年下の恋人(男性)とすったもんだ → 妻、娘が生まれていることを知らないまま夫をいろいろ赦して逝去 → 妻亡くなるや否や、愛人との間の娘を認知
 
言葉がありません。

右のおっさんです。アンチモラルを武器に、自分が育ったブルジョワジーな世界に対して復讐したかったようですが、残念感ハンパなし。都合のいい宗教観も果てしなく嫌いになれます。

Photo : Getty Images

人種と性別の優位性からくる傲慢さゆえ、ほぼ違法行為の連続。植民地で未成年相手というだけでアウトなのに、そのうえことごとく女性をコケにする神経に読んでいる間ずっとイラつかずいはいられないのですが、そんなときはいつも彼のことをこう呼ぶことにしています。
 
「ノーベル賞もらっただけのただのクズ」(きゃっ、言っちゃった)。
 
ジッドに比べれば、例のゲスなお方も前述の2人もまともに見えてくるはず……ないですね。失礼いたしました。
 
仏文学で不倫が当然のように扱われるのは、実際の結婚が、家の存続や財産の管理のために必要とされるシステムで、個人の意思と反した非常に強固な制度だった(今でも)からなわけで……。父さん、理不尽極まりないわけで……。現実って恐ろしいなと感じ入る毎日です。事実は小説よりゲスなり。

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  • Illustration : DAICHI MIURA

    エディターKEIICHI : ファッションフィーチャー担当。不倫ドラマ『アフェア 情事の行方』を一通りチェック。結局、不倫はモラルの問題なんかではなく、法律の悪用だから非難されるのねと教えてくれるこの作品では、今流行りの“W不倫”がドロッドロに描かれていてむしろ爽快。登場人物たち全員の面倒臭さを楽しむドラマです!

    『アフェア 情事の行方』公式サイト/http://affair.jp/

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