昨年末に大ヒットした映画『レ・ミゼラブル』にドラマ「glee/グリー」にと、ミュージカルものの人気は衰え知らず。そんな“歌もの”ファン必見のミュージカルがこの夏上陸！　ビヨンセ＆ジェニファー・ハドソン共演の映画でもおなじみ「ドリームガールズ」の本家本元、ブロードウェイミュージカル版が渋谷・東急シアターオーブで上演中です。
 
もともと映画版の大ファンだったため、一通りのストーリーと楽曲は頭に入っている私。何よりも楽しみだったのは、圧倒的な歌唱を生で体感できるということ！　映画ならば劇場で、ライブならば会場で、と「“生”で観ていないものは半分も理解できていない」を信条にしている私は、この貴重な来日公演をしかと目に焼き付けるべく、期待に胸を躍らせて行ってきました、「ドリームガールズ」！

冒頭からテンポのいい楽曲でスタート、次から次へとスピーディに物語が展開していくので、飽きる暇はなし！　そしてこのミュージカルの時代背景は60年代～70年代と期間が長いため、ソウル、ディスコなど、その時代ごとの流行が楽曲に色濃く出ているのも楽しみのひとつ。しかしなんといっても、第1幕、第2幕ともに見せ場となるシーンがあり、不覚にもオーバー30といういい歳ながら、ぼろぼろと大粒の涙をこぼすことに!!
 
ひとつめはグループ内の実力No.1エフィーが去りゆく恋人に思いのたけをぶつける「AND I AM TELLING YOU I'M NOT GOING」。もうこれは理屈抜きに、文字通り“魂が震える”ほどの感動。全身全霊で女心を訴えるド迫力に心臓をガシっとわしづかみにされ、しばし放心状態に。そしてもうひとつは、第2幕で登場する「LISTEN」。この曲は映画版ではビヨンセが熱唱していたお気に入りシーンのひとつ。ミュージカルのほうでは映画版とは少し演出が変わって、より物語を盛り上げるドラマティックな場面で登場。「ここでくるかー！」と感心しつつ、「いろいろあるけど、やっぱり女同士っていいよね」と女の友情に涙・涙。
 
このミュージカルが女性向きだなと思うのは、超一流の歌とダンス、そして最先端のLED技術で魅せる卓越したステージングはもちろんのこと、実は“女の人生”について考えさせてくれるところ。スターになる夢を追ってがむしゃらに駆け抜けた10代、成功を手にし、それぞれ仕事や恋愛で人生の変化が起き始める20代。不倫に苦しんだり、親友に男を取られたり、何も自分で決められない自分自身にジレンマを抱えたり……と、女子ならば誰しも「あるある」と共感できるポイント満載でストーリーが展開していきます。
 
親友に恋人と仕事を奪われたエフィーは、ひとりで子を産み、自らの信念を貫き、歌手としての復活を目指します。いっぽう、昔から優等生で恋人の言いなりだったディーナは、スポットライトを浴びながらも「何かが違う」と、初めて“自分の意志”を主張することを覚えます。男に寄りかかって自分を殺して生きるのか、それとも自らの足で自立して生きるのか。そんな女の人生の選択をどーんと突き付けられた気がするのです。ある程度の経験を積んだ30代の私も、いまだに人生は大いに模索中。ヒロインたちの選択にヒントをもらいながら、自分自身を振り返って「さて、どうする？」と今後の生き方をじっくり考えることに……。

終演後はもちろん場内総立ちのスタンディングオベーション！　観客たちの笑顔と会場を包むポジティブなオーラに気分もすっきり爽快、まさにミュージカルでしか味わえない“浄化体験”をかみしめる一夜となりました。鑑賞後、あーだこーだと一緒に観たエディターたちと女子トークにも花が咲き。このミュージカルはカップルよりも女子同士で観にいくことを激しくおすすめいたします！