今まで舞台鑑賞というとオペラ、歌舞伎、劇団四季、芝居、ルミネtheよしもと（！）などなど、多種多様なタイプを経験してきた私カルチャー担当Ｙですが、実はお恥ずかしながら海外のミュージカルを見るのはほぼ初めて。それがブロードウェイ・ミュージカルとはなんとも贅沢！　会場であるシアターオーブの魅力や、作品としての見どころは、編集長の全方位レポートを始め、既にほかの方が秀逸なレビューをアップしているので、ここではあえて、映画をみてから→ミュージカルの、醍醐味をご紹介。
 
というわけで鑑賞の前夜、映画『ドリームガールズ』を劇場公開時以来の約7年ぶりにチェック。これがなかなかどうして、じっくり見入ってしまうほどの名作（当たり前！）。それもそのはず、2006年の映画賞を総なめにし、ビヨンセを完全に食ってしまったジェニファー・ハドソンの迫力や、ド派手なセットに衣装にと、ミュージカル映画の魅力を最大限に生かした究極のエンターテイメント作品なのでした。そうそう、よくできた映画だったんだ！と再確認。

さて、ブロードウェイ・ミュージカルというと、古くは「マイ・フェア・レディ」「ウエスト・サイド物語」、近年だと「シカゴ」や「NINE」など、映画化されたものは多数あるんですが、実は“舞台”と“映画”というのはエンターテイメントの性質が全く違うので、両方ともにしっくりくる題材は意外に少ないとのこと。しかしこの「ドリームガールズ」ほど舞台版＆映画版、どちらの良さもひきたって、両方とも評価されている作品はないのだとか。

そしていざ、本家本元の舞台版「ドリームガールズ」を観劇！　結果、これが非常～に楽しめたのでした。
 
映画との大きな違いは、舞台は歌とダンスを楽しませることに重きを置いている。当然といえば当然なんですが、これが映画を見たあとだとより一層楽しめる。例えば彼らがショービズ界のダークサイドに踏む込むシーン。映画ではサラリと流していたところを、舞台ではメンズキャストが円陣を組んでカンペキなシンクロダンスを見せながら、悪に染まっていく彼らの状況をじわりじわりと表現。美しくも鬼気迫るダンスにゾクゾクと鳥肌が立たずにはいられない！
 
また、その逆パターンも。映画ではひとりひとりのキャラクターの心理を細かく描けるので感情移入がしやすくなる。例えばディーナがメインボーカルになったことで傷ついたエフィーが壊れていくまでの様子から、復活を遂げるところまで。映画でワンワンと泣かされたあのシーンも、生歌バージョンだとより一層感動させられます！
 
要するに、映画でまずキャラクターのバックグラウンドをたたき込んでおけば、話の筋を追うことに必死になりすぎず、劇場ではそれをふまえながら、とにかく歌とダンスを堪能することができるということ。これ、ミュージカル初心者にはおすすめかも。もちろん、観劇のあとに映画でおさらい、なんてのも楽しそう。
 
そもそも、アカデミー賞映画と本場ブロードウェイ・ミュージカルを比較できる機会なんて滅多にないので、これはもう、足を運ぶしかないでしょ！
 
ちなみに隣に座っていたブロガーSarikaさんと、いちばん感動したシーンを「せーの」で言い合ったら同じでした！　これはエフィーのあるソロのシーンなんだけど、感情のこもった生歌に思わずジーン。泣かせたと思ったら、あるときは渡辺直美ばりのコミカルさを見せつけるエフィー役の女優さん、なかなか芸達者でした！