――今回の展覧会では、ポスターワーク63枚を厳選しています。
　
「僕にとって、展覧会とはゲームのようなもの。だから、ポスターみたいに平面的なものをいかに楽しんでみてもらえるかがもっとも重要なんだ。今回は、すごろくのように作品をマス目に見立てて展示するという方法をとってるよ。自分たちで客観的に選ぶことは難しかったから、スタジオで6～7年一緒に働いている仲間にセレクトを一任したんだ」
　
――パルコのキャンペーンでは、今もっとも注目を浴びるファッションフォトグラファーのひとり、ヴィヴィアン・サッセンを起用していますね。
　
「ヴィヴィアンとはミッソーニのキャンペーンで知り合った。彼女はビジュアルにアーティスティックな味つけをしてくれる稀有な才能だ。パルコのようなファッションビルのADビジュアルは初めての経験だったから、エキサイティングだったよ。“from Solstice to Solstice”をテーマに、モデルのリリー・マクメナミーを通じて変化、進化を表現した」
　
――「バレンシアガ」「ジバンシィ」「イヴ・サンローラン」など、ビッグメゾンのエポックメイキングな広告ビジュアルを多く手がけています。きっかけは何だったのでしょう。
「1996年に最初のキャンペーンを手がけた。友達の友達がヨウジヤマモトで働いていて、それがきっかけさ。最初はY’sのビジュアル。その頃は毎シーズンのルックブックやカタログなんかもデザインした。ショートムービーのような世界観でね。それから徐々に規模が大きくなっていったんだ」

――多岐にわたるデザインワークの源泉とは？
　
「人間とその生活に関わる一切――“ライフ”としか言いようがないんだけど――それがすべてのインスピレーション源だ。人間が人生を送るうえでとるすべての行動、思考すべてからね」
　
――あなたたちはタイポグラフィと写真、コラージュを自在に融合させ、数々の雑誌や書籍のエディトリアルデザインで革新的なものを残してきました。エディトリアルデザインとは、どうあるべきなのでしょうか。
　
「僕らにとって雑誌であれ書籍であれ、そのデザインが“読む人のスケールに合っているかどうか”がもっとも大事。スケール感こそがすべてと言っていい。読む人の数が少なければ、デザインもそれを想定する。逆にマスを意識したほうがいい媒体では、デザインのスケールもおのずと大きくなる。そのバランス感だね」
　
まるでM/M（Paris）の頭のなかをのぞいているかのような気分になるプレゼンテーションにも注目。ぜひこの機会を見逃さないで！