長澤まさみ×高橋一生、恋愛を語る
2017/12/27(水)
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恋人の過去を知ろうとするのはナンセンス(高橋)

―久々の共演作『嘘を愛する女』はオリジナル脚本から生まれた映画です。最初に脚本を読んだときの印象から教えてください。
 
高橋 空白というものがちゃんと描かれていると思いました。由加利は一緒に暮らしていた桔平の名前も仕事も嘘だったことがわかって、彼は一体誰なのかを想像していくわけです。そこには精密な答えがなくて、彼女は空白を空白として残したまま“きっとこうだったかもしれない”とポジティブな想像をしていくんです。愛しているからこそ美しいエネルギーがわいてくるのであって、もしも愛していなかったら“あの人は人を殺したのかもしれない”と思ってしまうかもしれない。想像を空白として残して、あまり説明せずに由加利の心を描写していく手法がとても面白いと思いました。
 
長澤 全部言ってもらった感じです(笑)。実際の事件をもとにして脚本を書いた中江(和仁)監督の思いがとても熱かったから、物語や役柄に入り込んで読むというよりも、監督の思いに忠実に答えようという気持ちの方が強かったかもしれない。一生君も、撮影に入る前に監督から熱のこもった手紙をもらった?
 
高橋 こういう人で、こんなふうに生きてきた、という設定を書いたものはもらったかな。
 
長澤 私はそれを読んで、監督自身が由加利だし、この物語の答えを知りたいと誰よりも思っているのが監督だと感じたんです。私自身は桔平がなぜ由加利を好きになったのか謎だったけど、でもきっと男女の関係に理由はないし、言葉で説明できなくてもいいのかもしれないとも思って。私はイヤだなぁ、この女の人、ってずっと思いながら演じていましたね(笑)。監督からも「女が嫌いになるような人を演じてください」って言われていました。
 
高橋 わかるなぁって感じるところはなかった?
 
長澤 正体を調べ続けながらも、由加利は実はそれがわからなくてもいいと思っているんですよね。ただ好きだから。そういう女の懐の深さには共感するけど、監督が抱いていたどうしても答えを知りたいという思いは男性的な欲求のような気がしました。
 
―おふたりは恋人の過去を知りたいと思いますか?
 
高橋 流れだと思います。もしも過去について話すような流れになったら聞くだろうけど、別に聞かなくていいやと思います。
 
長澤 私も基本的には過去はどうでもいいから、聞かなくてもいいです。
 
高橋 お互いにこれまでの色々なことをリセットして、今一緒にいるわけで。それまでの関係性を切って次の人といるのだから、変なふうに過去に触れてしまうのはナンセンスだと思います。
 
長澤 私もそう思います。
 
高橋 人間は取り返しのつかないことを繰り返すものだと思うから、そこはもうどうしようもない。自分にはこの人だけだと思っていたのに終わってしまって、けれどどこかに忘れる機能があるから、人はまた恋をするんだと思います。性懲りもなく(笑)。
 
長澤 ふふふふふ。
 
高橋 お互いにそういうことを持ち寄っているのは、当然だと思います。

  • © 「嘘を愛する女」製作委員会

    『嘘を愛する女』
    キャリアウーマンの由加利は、研究医の恋人、桔平と暮らし始めて5年目を迎えていた。ある日、桔平がくも膜下出血で意識を失ったことをきっかけに、彼の職業はおろか名前さえも嘘だったことが発覚。桔平が残していた書きかけの小説を見つけた由加利はそのなかに残されたヒントを頼りに、私立探偵とともに桔平の過去を追いかける。CM界で活躍する中江和仁が脚本・監督をつとめたラブストーリー。2018年1月20日公開。http://usoai.jp/

Photo: Akinori Ito/aosora  Styling:Miyuki Uesugi/3rd (Masami Nagasawa) ,Eiji Takahashi/acusyu(Issey Takahashi)  Hair & Makeup: Mikako Takamura (Masami Nagasawa) , Mai Tanaka/marvee(Issey Takahashi)  Text: Mika Hosoya

  • 長澤まさみ/1987年、静岡県生まれ。2000年に第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞。2003年に『ロボコン』で映画初主演を飾る。『世界の中心で、愛をさけぶ』では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など数々の賞を受賞した。近年のおもな出演作に『海街diary』『追憶』『銀魂』、ドラマ『真田丸』、ミュージカル『キャバレー』、声の出演に『君の名は。』『SING/シング』など。公開待機作に『50回目のファーストキス』(2018年6月1日公開)、『マスカレード・ホテル』(2019年公開)。
     
    高橋一生/1980年、東京都生まれ。数々の映画、ドラマ、舞台で活躍する。近年のおもな出演作に映画『シン・ゴジラ』『3 月のライオン』など。今年はドラマ『カルテット』『おんな城主 直虎』も大きな話題を呼んだ。現在、連続テレビ小説「わろてんか」などに出演中。公開待機作に映画『blank13』(2018年2月3日シネマート新宿、2月24日全国順次公開)、『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』日本語吹替版(2018年2月24日公開)、『空飛ぶタイヤ』(2018年6月15日公開)がある。

  • CHECK!
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  • 問い合わせ先/
    ブラミンク tel. 03-5774-9899
    イリスフォーセブン iris47.satoko@gmail.com https://iris47.squarespace.com/
    エドストローム オフィス tel. 03-6427-5901 http://www.eytys.com/
    ステラ マッカートニー ジャパン tel. 03-6427-3507 http://www.stellamccartney.com
    ドリス ヴァン ノッテン tel. 03-6820-8104 http://www.driesvannoten.be/
    ブリンク ベース tel. 03-3401-2835 http://blinc.co.jp/blincvase/

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