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米国CBSの有名インタビュー番組「60 minutes」でも活躍中のアンダーソン・クーパーは現場取材だけでなく、セレブリティへのインタビューも“聞く”のお手本にしたくなるアンカーマン。写真はアンジェリーナ・ジョリーとのもの。

Photo : Aflo

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不要なカメラ目線、必要な覚悟

―でも最近、素人の方でもカメラ目線はとても上手ではないですか?

吉川:そう! アナウンサーの試験を受けにくる人たちも、こちらとしてはどのくらい声が出せて、きちんと原稿が読めるのかを見たいのに、まず「カメラどこですか?」(笑) 「いや、カメラ意識しなくていいから(汗)」って……。原稿は別にずっと顔を晒して読むわけではないですし、「なによりも事実を伝えなければいけないのに、自分の笑顔だけ見せてもしょうがないよ」とは言うんです。

―CBSドキュメント「60ミニッツ」の日本語版放送でピーター・バラカンさんとキャスターを務められていましたね。アンダソン・クーパーら、インタビュアーによる現地取材やセレブリティ取材などは、聞く人への態度のわきまえや切込みのバランスがすばらしくて……。日本での放送がなくなってしまったのは残念でなりません。

吉川:あの番組は本当に素晴らしかったです。(インタビュアーする側とされる側の)お互いのバストアップショットを、かなりアップ気味でちょっとした表情までとらえていて、言葉と同時にそこからも何かを読み取ることができましたね。

―インタビューされる側の度胸も感じられました。

吉川:そうですね。(出演する以上)絶対に逃れられない質問というものありますから。

―そこにはインタビューを請け負った以上、絶対にその場をダメにさせない、絶対に成立させるのだという聞く側、聞かれる側の覚悟のようなものが感じられました。

吉川:「出てくる方もさすがだな」と思いますよね。それはお互いに自信があるからでしょうね。しかも、聞く目的、出る目的がはっきりしているからですよね。日本では政治家などを追い詰めてしまうと、「もうこのテレビ局には出ない」と言われて困ることがあります。政治家の度量の狭さを感じますし、日本の報道番組の限界も感じることがあります。 

  • Profile : 吉川美代子(よしかわ・みよこ)
    TBSテレビアナウンサー。TBSニュース解説委員。編成局アナウンス部担当局長。看板ニュース番組「JNNスコープ」にて女性初のキャスターに抜擢され、19年間看板キャスターとして活躍し続けた。2014年5月31日付けで定年退職後、フリーアナウンサーとして活動するとともに、引き続き後進育成に勤しむ予定。近著に近年の“女子アナ”に対しての厳しい視線を盛り込んだ、『愛される話し方』(朝日新書)など。 

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