インタビュー
2016/10/06(木)

日本人にもっとも近いハリウッド女優、アリシア・ヴィキャンデルの仕事術

日本の早耳ファンからは“アリシアちゃん”の愛称で呼ばれ、2016年アカデミー助演女優賞を獲得。今、世界中でもっとも作品に恵まれているといっても過言ではない“ハリウッドのスウェーデン女優”、アリシア・ヴィキャンデル。新作『ジェイソン・ボーン』で挑戦したのは野心あふれる若きCIAエージェント。役とも重なる彼女に、成功の階段を駆け上がる秘訣を訊いた。

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日本の織物を感じさせる「アーデム」のコルセットドレスと「ロフラー・ランダル」のサンダルで登場。「ごめんなさいね。今日はコルセットだからあまり自由に動けないの」と気を遣ってくれるアリシアに胸キュン(古)。

Photo : Toshiki Hiraiwa

スカンジナビアも「出る杭は打たれる」

映画『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を受賞、一躍世界的な女優として脚光を浴びているアリシア・ヴィキャンデル。スウェーデンに生まれ女優としてキャリアをスタートさせた彼女はその後デンマークやイギリス映画界に進出。映画『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』の主演で注目を集め、『アンナ・カレーニナ』『エクス・マキナ』『戦場からのラブレター』など数々の作品に出演する。多彩なキャラクターを演じてきた彼女が最新作『ジェイソン・ボーン』で演じたのは、野心的なCIAエージェントのヘザー・リー。今作でも新境地に挑んだ彼女が、リーという女性像から作品選びのポリシーまですべてを語ってくれた。

――初来日の感想は?

日本に来られてとても嬉しい。日本はずっと行きたい国ナンバーワンだったの。これまで文化や歴史、日本独自の美しさを写真で見たり読んだりしてきたけれど、ついに見ることができたわ。私が生まれたスカンジナビア圏ともちろん文化は正反対だけれど、面白いことに似ているところがあると思う。例えばきちんと列に並んだりするところは私たちの行動と同じよ。ミニマルなデザインとかシンプルな形とかは似ている部分があると思う。スカンジナビア人として共感する部分があるわ。

ジェイソン・ボーンをサポートするリー。しかし、何か魂胆があるらしく……。

(C) Universal Pictures

――最新作『ジェイソン・ボーン』で演じたリーはハングリーで上昇志向の強い女性です。そういう女性に反感を抱く人もいますが、アリシア自身はリーをどう受け止めましたか?

野心を持つことはいつでもとてもいいことだと思う。でもリーは何か求めているものがあるみたいで、そのためなら何でもするというキャラクターね。素晴らしい才能を持った女性として尊敬はできるけれど、見ていると倫理観やモラルのコンパスがどちらを向いているのか、本当は何をしたいのかが謎めいていると思うわ。人生で本当に求めているものが何なのか、疑問に感じてしまうわね。

――リーのように、野心を満たす手段として人を踏み台にしてしまうことは必要だと思いますか?
 
いいえ、思わない。日本はどうなのかわからないけれど、私の育ったスウェーデンでは「Poppy Syndrome(出る杭は打たれる)」って言われるような、人から飛び出してはいけないという雰囲気があるの。きっと日本でも同じよね。いつも集団でいなくてはいけない、みんなと同じでなくてはいけないという社会なの。ある意味、そういう環境で育ったことで私は謙虚な気持ちを持つようになったと思う。でも野心的であることは悪いことではないわ。それだけ大切で情熱や愛を抱けるものがあるということだから。でも人を踏み台にしてそれをつかむというのは違うわね。私にとって野心はもっと個人的なもの、向上心に近いものだと思う。

  • (C) Universal Pictures

    『ジェイソン・ボーン』
     
    前作『ボーン・アルティメイタム』で自分の素性やCIAの暗殺者になった経緯を突き止めたジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。亡き父親がCIAの極秘計画に携わっていたことを発見したボーンは、真実を明らかにしようと動き出す。CIA長官は彼の存在を消そうと動き出すが、若きCIAエージェント、ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)は自分の野心を叶えようと、上司の命令に背いて密かにボーンに協力するようになる……。
     
    監督/ポール・グリーングラス
    出演/マット・デイモン、アリシア・ヴィキャンデル、トミー・リー・ジョーンズほか
     
    10月7日(金)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
     
    公式サイト:http://bourne.jp/ 
    公式Facebook: https://www.facebook.com/BOURNE.jp 
    公式Twitter:https://twitter.com/BourneMovieJP

     

Interview & Text : Yoko Nagasaka

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