―それはひとつの事をひたすらずっと続ける、これまでの日本の“男性的”な仕事の仕方とは違うものですね。残業を長くしていたほうが仕事している風に見えるとか、一社に献身したほうが出世できるとか、ひとつの事だけに邁進することが美であるといったような……。
 
女性はそれができるんだと思います。今は仕事、今は家族、今は子どものための時間と区切る。でも、この日はどうしてもしなくてはいけない仕事があるから、旦那さんに何時までに帰ってきてもらう。休日だけど、この日はどうしてもやらないといけないから、パッと仕事に出て行くとか。心に区切りをつけるということが、実は女性はうまくできると思います。
 
 
―起業したきっかけは？
 
今年10歳と5歳になる子どもがいますが、最初の子を出産している間は仕事をしていなくて、出産後に起業の準備を始めました。息子が3歳になったときに起業しました。20代後半からしたいと思っていて、自分が目指す化粧品を広めるためには起業するしかないと……。最初、自分が理想とする化粧品がアメリカであればそれを販売しようという計画でした。だから、まさか化粧品をイチから製造することになるとは思っていませんでした。
 
 
―渡米するきっかけは？
 
日本の化粧品会社で働いていたときに、アメリカと行き来をしていたのですが、そのときアメリカのほうがオーガニックの化粧品や食品が進んでいるということに気づきました。アメリカに目指したものがある。なら、本場に勉強しに行こう！と決め、渡米しました。
 
 
―そのとき旦那さまはどうされたんですか？
 
結婚して渡米しました。「私、行きますけど、（あなた）行きます？」という感じで（笑）。
 
 
―旦那様はすんなりOKされたんですか？
 
はい、「ああ、行きます」と。就活して米国で就職しました。
 
 
―それだけ国際派の男性だったと……。
 
いえ、それが、そのときまで日本の企業で普通に働いていて、パスポートすら持っていない人だったんです。なので、夫の渡米はまずパスポート取得から始まりました。初めての渡米が、移住の手続きという男性です（笑）。
 
 
―日本だと逆パターンが“普通”じゃないですか。
 
主人はIT関係の仕事なのですが、「ITだって本場はアメリカじゃない！　アメリカだよ！」と話した記憶があります（笑）。
 
私はちょうどバブル世代で、大学1年のときまでは好景気でした。特に理系は、先輩たちが企業からものすごい接待を受けて、就職していった時代。それが私たちの就活のときにバブルが崩壊。だから大学院に進む理系男女が増えた時代なんです。そういうことを経験しているから、もう何が起こるかわからないと、主人とも話しています。
 
 
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