特集
2016/07/11(月)
レジェンドウーマンの人生相談室

田村セツコさんに聞く、ノンシャランな女の生き方

女性イラストレーターの草分け的存在にしてエッセイストの田村セツコさん。1950年代にデビュー後、78歳を迎えた今も現役のワーキングウーマンとして活躍し続ける田村さんに、エル・オンライン世代の仕事や人間関係のお悩みをASK! 田村さんが伝授する、自分に合う仕事を見つける方法、悩みに縛られないノンシャランな生き方とは?

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秘書として勤めた銀行を1年ほどで退職し、イラスト一本で生きていくことを決意。「駆け出しのころは、どんなに小さなカットでも1個頼まれたら10個描く。それを出前迅速で(笑)編集部に届ける日々でした」と田村さん。

本気で働けば必ず報われる

日本の“カワイイ”文化の元祖であり、1960年代から『りぼん』『なかよし』などの少女雑誌の表紙やイラストページを多数飾ってきた田村セツコさん。78歳を迎えた今もなお現役のイラストレーター、エッセイストとして第一線で活躍する田村さんが、エル・オンライン世代の仕事や人間関係のお悩みにアンサー!
 
 【お悩み その1】
自分ができることと、やりたいことがなかなかマッチしません。できることとやりたいこと、仕事でどちらを優先するべきでしょうか。(27歳/会社員)
 
【田村さんの回答】  
できることは自分では決められないのね。実際にやってみないとわからないものです。だから仕事はチャンスがあれば何でもやってみる。一生懸命にやることで開くヒントの扉があります。「アートの世界で羽ばたきたいのに、回ってくるのは夢のない仕事ばかり」って言う若い子がいたけど、私は「そういうことから逃げちゃいけない」って言います。やりたくないことでも、一生懸命やるとその仕事が楽しくなるのが不思議。そうやって仕事をしている人のほうが、キラキラしていて楽しいことに出合えることがあります。
 
ジャン・ジュネの「バルコン」という娼館を舞台にしたお芝居があります。そのなかで、悩んでいる新人に向かってマダムが「どんな仕事でも一生懸命やれば、今度はその仕事があなたを愛してくれる」と言うシーンがあるの。ジュリエット・グレコもインタビューで、「人生の喜びは、仕事を熱烈に愛すること」と言っていて、「熱烈に」ってカッコいいなと思いました。本気で働けば必ず報われる。やりたい仕事を求める気持ちもわかるけど、できることをやっていくうちに、それがやりたいことにつながっていくかもしれない。私自身も、この仕事が好きかどうかはわからないながら、締切厳守で紙と鉛筆を無我夢中で握りしめているうちに、いつの間にか大好きな職業になりました。
 
【お悩み その2】
仕事はなんとかやってこれていますが、結婚願望もあります。今後の人生で、仕事と結婚のどちらを選ぶべきか悩んでいます。(28歳/会社員)
 
【田村さんの回答】
私は流れで自然と仕事のほうにきちゃったけど、できるなら結婚もいいし、朗らかなお母さんになるのもいいかなと思っていました。でもデートをしていても、「今日は締切だ」と締切優先になって。松本かつぢ先生に紹介していただいてこの世界に入ったのに、締切がルーズだったら先生にも迷惑をかけちゃう、という思いが常にありました。
 
以前、結婚か仕事かで悩んでいたときに、憧れの編集者の方にばったりお会いして、「私はどちらに重きを置くべきでしょうか?」って聞いてみたの。いきなりそんなことを聞くのも唐突よね(笑)。そうしたら「Y字の分かれ道になるでしょう。とりあえず一方の道に行ってみて、間違ってたらまた戻ればいいじゃない。じっと悩んでないで、どちらかに進んでみれば」と言っていただけました。
 
人によって、考え方やタイプによっても違うけど、勇気をもって進んでみてほしい。ダメだったとしても、がっかりしないで颯爽と戻ってくればいいの。「ちょっと違ったかしら?」ってノンシャランに。もたついたり、湿っぽくなったときは、ノンシャラン!

  • 田村セツコ/1938年、東京都生まれ。高校卒業後、銀行の秘書室に勤務。退職後、童画家・松本かつぢ氏の紹介でイラストレーターの道に。1950年代後半のデビュー後、1960年代には『りぼん』『なかよし』ほか少女誌でイラストを多数手掛け、女性イラストレーターの草分け的存在に。「いちご新聞」では、1975年の創刊当時から現在に至るまで連載エッセイを継続中。新刊『おちゃめな生活』(河出書房新社)ほか著書多数。最新刊『カワイイおばあさんの『ひらめきノート』』(洋泉社)が8月に、『おしゃれなおばあさんになる本』(興陽館)が10月に発売予定。毎月第2、第4火曜日(10:15~12:15)に池袋コミュニティ・カレッジで、“絵日記を描いてハッピーに”をテーマに講師を務める。年に数回、ゲストを招いたトークショー「ようこそ!セツコの部屋へ」も開催。>>オフィシャルブログはこちらから

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