特集 2016/10/1(土)

女性はなぜ仕事で失敗をおそれるのか?

失敗は誰でも嫌なもの。では、女性は男性に比べて、失敗をより深刻に捉えがち、ということは知ってた? 最近の調査で明らかになった失敗への対処法に関する性差の問題を『ウォール・ストリート・ジャーナル』誌などに寄稿する女性ライター、クレア・グローデンが自身の経験も交えながら考察。

―そして、女性は成功できないと、それを個人的な問題として捉えてしまう
 
女性が目標を高く掲げてしまうのは、失敗したときに、何か自分たちには生まれつき悪い部分があるのだろうと考えてしまうのだ。スタンフォード大学で心理学の教授を務めるキャロル・ドェックは彼女の著作『マインドセット「やればできる! 」の研究』のなかで、失敗に苦悶する女性たちは 固定思考(fixed mindset)の犠牲になっているという。固定思考を持つ学生は成績の低評価を自分の特別な努力やスキルの反映ではなく、中核的自己を批判であると感じるそうだ。ドェックによると成長思考(groth mindset)を持つと、失敗はより容易く受け入れられるし、自分の特性を常に発展途上のものとして見ることが出来るようになるという。低い評価は将来のより良い成績を疎外するものでは何らないのだ。
 
―女性が自分の資質を生来のものと捉えがちなのには育てられ方に原因がある
 
幾つかの研究が、固定思考は特に女性には害であると示している。なぜなら、女性の能力についての否定的なステレオタイプによってますます自信を失ってしまうという悪循環が生まれるからだ。ある研究によると、”成長思考”を持つ女性は、エリート大学の微積分学のクラスで持ちこたえることができ、一方で”固定思考”を持つ女性は苦悶し、つまずいたり、批判的コメントを受けたりするたびにそれが自分の生まれつきの能力に対する攻撃であると受け止めてしまうという。
 
女性は過度に固定思考に害されているし、男性に比べて固定思考を持つ傾向が強い。ドェックと、コロンビア大学ビジネススクールのモチベーション・サイエンス・センターのアソシエイト・ディレクターを務めるハイジ・ハーバーソンは女性の育てられ方が、彼女たちが自分の資質を生来のものとして考える傾向を作り出しているという。男の子はクラスで言いなりにならない場合が多いため、しばしば行動で表し、たくさんの批判を受ける。そして、学校で励まされたり、批判されたりする方法が男の子と女の子で違うことが、自己や能力の認識に大きな影響を及ぼしている。ある研究によると、教師たちは男子生徒に対して、彼らが失敗した時には努力に基づいたフィードバックを与え、彼らが成功した時は能力に基づくフィードバックを与えるという。 一方で、女子生徒は失敗は彼女たちの能力に基づいたフィードバックを、そして成功には良い行いを基にしたフィードバックが与えられている。

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Translation & Text: Naoko Ogata Photo:Getty Images

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