特集
2016/06/30(木)
早耳調査隊がゆく

#LOVEISLOVEISLOVE : トニー賞が伝えた「愛の敵は“ふつうの人”」

現地時間の6月12日(日)トニー賞2016開催当日に、フロリダ州オーランドでアメリカ史上最大の死傷者が発生した銃乱射事件が起こった。LGBTQIAの人々をターゲットにした(セルフ)ヘイトクライムに対し、トニー賞の舞台から放たれた「Love is Love is Love...」というキーワードが世界を席巻! ブロードウェイが伝えたかったこととは?

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Photo : Aflo

記録と歴史を塗り替えた第70回トニー賞とその結果

今年初め、米アカデミー賞の話題は「#OscarsSoWhite」のハッシュタグとともにSNSで拡散された。というのも、ハリウッドメジャースタジオ作品で、原作では白人ではないはずのキャラクターに白人俳優が抜擢される“ホワイトウォッシュ”現象が相次ぎ、それが批判の的になっていたから。実際にはまったくもってマスコンテンツではない舞台演劇に賞を授けるトニー賞でも、白人優位の時代は長らく続いていた。1982年、「ドリームガールズ」がブロードウェイ版初演時に13部門でノミネートされ、主演男優、女優の双方を含め、うち6部門で受賞という快挙を成し遂げたものの、その後はミュージカル部門での主演男優、女優賞の非白人受賞は一切なし。ところが記念すべき第70回を迎えた今年、ミュージカル部門での受賞者全員が非白人という歴史的快挙が成し遂げられた。2015年の映画シーンもそうだったが、ブロードウェイでも「ダイバーシティー」の波が顕著になったというわけ。

Photo : Aflo

たとえば、アメリカ建国の父のひとり、アレクサンダー・ハミルトンの生涯をヒップボップなどの様々な音楽に乗せて綴った「ハミルトン」は最多ノミネート(16部門)、かつ最多受賞(11部門)を果たした(この舞台は今年いっぱいはチケットを手に入れること自体が難しいくらい人気)。あるいは、オプラ・ウィンフリーがプロデューサーを務め、主演女優賞も受賞したリバイバル上演作品「カラー・パープル」。キャスト、スタッフ、脚本、プロデュース、すべてが黒人女性による「エクリプスト」など、ハリウッドでは考えられないタイプのプロダクションが行われ、それが実際に聴衆、あるいは批評家、そして同業者やブロードウェイの歴史を支えるベテランたちの支持を得て受賞に繋がったことは、まさに時代が求める指標をそのまま示しているとも言えそう。

Text : Ryoko Tsukada

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