超絶美青年だけどゲス。天才画家エゴン・シーレを演じた男優の禁断の美
絶対的な美が完成すると死に至る―――。そんな言葉を体現するかのように28歳で亡くなった20世紀を代表する美青年画家エゴン・シーレの伝記映画『エゴン・シーレ 死と乙女』の全貌が日本解禁。美しき主演男優ノア・サーベトラが演じた、女性を惹きつけ利用し尽くした天才画家の魔性が溢れるシーンカットの数々をたっぷりご紹介。
今の時代であれば、決して許されることのない、彼の捻じれた倫理観と人間関係のゆがみは、特異な美学とともに人類史に残る名作へと消化していって……。
没後100年を記念し、そんな彼のストーリーを世紀の美青年を主演に迎えて描いた伝記映画『エゴン・シーレ 死と乙女』が静に欧州で旋風を巻き起こし、ついに2017年1月28日(土)日本公開が決定!
吐き気を催すくらいムカツク主人公と、誰一人幸せにならない女性たちが第一次大戦を迎えた時代にも翻弄されて早々にお亡くなりになっていく……。晴れた日のデートにはまず観ないであろう内容にげんなり。ところがそのどんより感を覆すほど、シーレという魔性の美青年を魅力的に見せたのが、息を飲む美男子ノア・サーベトラ。
やることなすことすべてが秩序を逸脱させ、人をいらだたせる。なのに男女問わず、つい守ってあげたくなる。そんな夢のような、しかし実在したキャラクターなのに、「この人じゃこうなるのも仕方ないよね」と観客を納得させる美しさと愛らしさ、そして空虚さを兼ね備えているノアに悶絶。なんと、本作に選ばれたときはモデルとして活動していて、台詞を二行と覚えられないほど俳優としての能力は低かった(というよりほぼなかった)そう。しかし、役者というよりも、わずか28歳で亡くなったシーレ本人に成り代われる、破壊的な“若者”を探し出そうとしていた製作陣は彼を見て、「シーレと同じ人を惹きつける力がある」と即決したとか。
映画界全般を考えると“魔性の女”は数多取り上げられていても、“魔性の男”を観られる確立は圧倒的に低い。挙げるとするなら『太陽と月に背いて』のレオナルド・ディカプリオ(ランボー役)だったり『オスカー・ワイルド』のジュード・ロウ(ダグラス役)、『キル・ユア・ダーリン』のデイン・デハーン(ルシアン・カー役)がいるけれどこれは対象が男性だし、『危険な関係』のジョン・マルコヴィッチ(ヴァルモン子爵役)や『FOUJITA』のオダギリジョー(藤田嗣治役)、古くは『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンや『赤と黒』のジェラール・フィリップ(ジュリアン・ソレル役)も挙げられるけれど、これらの役は美しさというよりテクニックで意図的に女性を振り回す男性たち。
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『エゴン・シーレ 死と乙女』
監督:ディーター・ベルナー
出演:ノア・サーベトラ、マレシ・リーグナー、ファレリエ・ペヒナー、ラリッサ・アイミー・ブレイドバッハ
原題:EGON SCHIELE – DEATH AND THE MAIDEN
オーストリア・ルクセンブルク作品 109分 シネマスコープ 15+
2017年1月Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
公式HP: http://egonschiele-movie.com/
(c)Novotny & Novotny Filmproduktion GmbH