風のように自由に、ダウンタウンからアップタウンへと縦横無尽に歩き回るニューヨークのパリジェンヌ、シャルロット・ゲンズブールは、二年前からふたりの娘たちとブルックリン・ブリッジに近いアパートメントで、猫と一緒に暮らしている。
 　
姉ケイトの死が切っ掛けとなって移住を決意した彼女だが、どこに住んでも、繊細な感性と嗅覚で、たちまち自分だけの場所をみつけてしまう才能に長けているので、これまでみつけた彼女のパーソナルな、秘密のアドレスを教えてもらう。「大好きなのは、ハワード・グリーンバーグ・ギャラリー。イヴァン（夫イヴァン・アタル、男優、監督、脚本家）に教えてもらった写真ギャラリーなの。有名なフォトグラファーのときもあるけど、ソール・ライターやヴィヴィアン・メイヤー、ポール・ストランドといった写真家の感動的な作品と出会えたわ。エゴン・シーレをみたノイエ・ギャラリーにもよく行くけど。
　
最近は日本料理が好きで、自分でも作るから、サンライズ・マートにいつも買いにいっている。月並みだって思われるかもしれないけど、アイピック・シアターにいってゆったりした椅子で食べたり、ワインを飲みながら、子供たちとディズニー映画を観るのも悪くない。アート性の高いものを見たい時はニュー・ミュージアムに。この前もキャロル・ラマ展をみてきたの。ハロウィンが、こんなに楽しいものだって、ニューヨークに来るまで知らなかった。ハロウィン・アドヴェンチャーという店は、毎年その時期になると大賑わい。私も子供たちと家の中も外も、大真面目にデコレーションをするのよ」